郵便貯金消失の9人「制度知らなかった」 専門家「周知不足のツケ」 | 毎日ブログ
朝日新聞が取材した9人は、昨年までに貯金を失った50~80代。夫婦と子どもの3人で計820万円(元本のみ)を失った家族もいた。  9人のうち4人は、郵便局の窓口で貯金を下ろそうとした時点で権利が消滅していて、そこで初めて消滅制度の存在を知った。3人は昨年の朝日新聞報道で、1人は郵便局の貼り紙で制度を知った。残る1人は消滅期限が近い貯金があると知らせる手紙が届いたものの、すでに一部の貯金が消えていたという。  民営化前の定額貯金などを管理する郵政管理・支援機構は、広告やチラシなどで制度の周知に努めてきたとしている。  だが、元銀行員の鈴木英司弁護士は「結果として多くの人が制度を知らなかったのだから、国や郵便局による周知は不十分。周知を怠ったツケが表面化している」と指摘する。請求された払い戻しに応じてもコストは大きくないとみて、預金者保護の観点から救済を図るべきだとしている。  2007年の民営化前の定額貯金(満期10年)などには旧郵便貯金法が適用され、満期後20年2カ月で貯金者の権利が消える。ここ数年で消滅額は急増し、21年度は計11・7万件、457億円にも達した。  民間銀行ではゆうちょ銀行も含め、放置されて休眠預金になっても請求があれば払い戻しには応じていて、預金が消えるようなことはない。(藤田知也)