神式通夜とはどんなもの?

神式通夜とはどんなもの?

神式通夜とはどんなもの?という疑問にお答えしていきます!

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自宅でお骨を迎える帰家修祓の儀

火葬場から斎主や喪主、その他の参列者が戻ってくると、玄関に置いてある水で、手水の儀を行い、塩をまいて清めて、さらに、神官からお祓いを受けてから家に入ります。ケガレを家に持ち込まないようにするためです。この一連のことを帰家修祓の儀(きかしゅうばつのぎ)と言います。

実は、仏式の葬儀でも小さな袋に塩が入った清め塩を頂くことがありますが、実は、この神式の帰家修祓の儀の影響を受けているのです。なので、最近は、仏教には、清めの塩という考え方はないとして、清めの塩を配らないことも増えています。

この辺りは、なんだかんだと言っても、日本人は神道の影響を受けているのですね。

さて、家に入ると、お通夜から葬儀、火葬まで滞りなく終えたことを神に報告するための帰家祭(きかさい)を執り行います。仮霊舎に霊璽(れいじ)、お骨、遺影を飾り、お供えをします。斎主によって、お祓いを行い、祭詞を奏上して、一同の礼拝、そして、玉串奉奠ですべての葬儀に関する儀式が終了します。

葬儀が終わると、世話役や関係者の労をねぎらい、お礼をするという意味で、酒宴を行うこともあります。斎主や神官には、上座に座っていただいて、みんなで食事を行います。また、神官には、御膳料を渡して感謝を表すことが多いようです。

本来なら、葬儀の翌日には、翌日祭を行うことになるのですが、遺族だけで行ったり、省略するようになってきています。通夜、葬儀、翌日祭となると、あまりにも長い期間、拘束されてしまうので、現実的ではないですからね。

仏式の戒名に相当するものはあるのか?

仏教では、人が死ぬと戒名が与えられます。死んだ後は、仏になるとうことで、仏の名前になります。では、神道の場合はどうなるのかというと、基本的に名前が変わることはありません。

通夜のときに行われる遷霊祭で、故人の御霊を霊璽に移した後は、故人の姓名の後に男性の場合は『彦』、あるいは、『大人』(うし)、女性の場合は、『姫』あるいは、『刀自』(とじ)をつけて、最後に『命』(みこと)という尊称をつけて呼ばれるようになります。そのために、仏教の位牌に相当する霊璽には、故人の名前に『命之霊』とつけて記載されます。同様にお墓の墓標にも同じように刻まれることになります。

このように神道の場合は、戒名のようなものはなく、生前の名前のままで、その御霊は神になって、家を守り続けるという考え方で、先祖代々の神が家を守っていると考えるのが神道の基本なのです。
神式では祓い清めが重要

お正月の初詣と神式の結婚式ぐらいしか接点があまりない神道ですが、実は、日本人の生活の中に深く浸透しています。特に、祓い清めるという考え方は、知らず知らずのうちに身についているのですよね。

例えば、ほとんど意識していませんが日本ではお茶碗や湯呑は、家族の中でそれぞれの食器が決まっています。特に箸はそれぞれの人の箸がありますよね。でも、こんな文化を持っているのは日本だけなのです。不思議なことに、同じ箸を使う中国や韓国であっても、家族の箸という考え方はなくて、食堂の塗り箸のように箸立てにたくさん入れてあって、適当に取って使います。ところが、日本人は自分の箸という概念があり、お茶碗や湯呑もなぜか自分のものを持っています。そして、決して不衛生とかそういう問題ではなく、家族でも他の人の箸やお茶碗をどんなにきれいに煮沸消毒したとしても、使うことに抵抗があります。

この感覚が神道につながるケガレやミソギ、祓い清めなのです。

そして、面白いことに、ナイフやフォーク、西洋皿に対しては、自分のナイフとか、自分のフォークという意識はなく、家族みんな同じものを使っていても何も違和感を持たないのです。

日本人であれば普通に持っている感覚なのですが、これを海外の人に説明するのはとても難しいことで、この感覚があるからこそ、神式の葬儀で祓い清めるということをすんなりと受け入れることができるのです。

出棺後の後祓いの儀

仏式の葬儀にあたる葬場祭が終わると、出棺となります。火葬場まで霊柩車で運ばれ、火葬するのですが、この炉に棺を納める儀式を火葬祭と呼んでいます。仏式と同じように炉の前に祭壇があり、玉串を供えて拝礼します。ここでも、柏手を打つのは音を出さない忍び手にすることを忘れないでください。

火葬が終わると、骨揚げになりますが、骨揚げの作法については仏式との区別はなく、この骨揚げという風習そのものは日本独自の風習となっています。また、神式の場合は、骨揚げの後は、お骨を墓地に持って行って埋葬するのですが、最近は少し事情が違ってきて、仏式のように一度、お骨を自宅に持ち帰るケースもあります。

さて、出棺後の自宅では、祭壇を片付け、忌み嫌う死から家を清めるという意味から家の中も外も掃き清めます。桶に入れた水で柄杓を使って手を清め、最後に神官が、仮霊舎やその場にいる関係者一同に対してお祓いを行います。こうして、葬儀の後のすべてのケガレを清め、後祓いの儀(あとばらいのぎ)が終わります。

この後、遺骨を迎えるために、新たに後飾りと呼ばれる祭案を作り、榊や燭台などを準備します。また、玄関には火葬場から戻ってきた人たちのために、清めの水と塩を用意しておきます。
葬場祭の式場の準備

仏式の葬式にあたる儀式が、神式では葬場祭(そうじょうさい)になります。これも、神社ではなく、自宅か斎場を借りて神官が執り行います。

まず、葬場祭を行う場所には、周囲に忌み竹(斎竹)を立てて、注連縄(しめなわ)を張ります。白黒の鯨幕を張ります。この辺りは、仏式と特に違いはありません。

祭壇の全面中央に旗門を儲けて、両側には榊を立てておきます。とにかく、神式の葬儀では、植物はすべて榊を用いるので、その点を注意しましょう。祭壇の中央には棺を安置してその前に遺影を置きます。両側には、榊や燭台を置き、供え物をします。また、棺の後ろには、故人の姓名を大きく書いた銘旗を立てます。

祭壇の前の一段高い場所には、祭壇に向かって右側には、葬場祭を取り仕切る斎主と斎員が座り、左には、楽員が座ります。さらに、会場の座席は、祭壇に向かって右側が喪主と遺族、左側に世話役が座ることになります。

また、神式の場合は、斎場に入るのに手水の儀で清める習わしがあるので、玄関や受付の前に、柄杓と水を入れた桶、そして、懐紙を用意します。ただ、これは、弔問客がすべて行っていると時間がかかりすぎるので、最近は省略される傾向にあるようです。

葬場祭の進行について

葬場祭は、まず、一般会葬者が入場し、喪主、遺族と続きます。葬儀屋のスタッフが世話役として葬場祭の進行を行うことが多く、まず、一同起立をして、斎主、斎員、楽員といった神官が入場します。入場を終えると、一同が着席し、葬場祭が始まります。

葬場祭の進行は、地域の風習によっても多少違いますが、一般的には、次のような順番で行われます。

最初に、修祓の儀(しゅばつのぎ)があり、斎主が、会場やそこに集った人たちすべてを祓い清めます。このとき、会葬者は一同起立して、頭を深く下げてお祓いを受けます。

場が清められたところで、お供えをする奉幣(ほうへい)・献餞(けんせん)が行われます。このとき、楽員による楽(がく)が奏上されます。その後、斎主による祭詞が奏上され、さらに、楽員によって、忍び歌が奏上されます。このとき、弔辞の拝受や、弔電の紹介が行われます。

最後に、仏式の焼香に相当する玉串奉奠が行われ、斎主、喪主、遺族、近親者、知人・友人といった順に、玉串を受け取って祭壇に供えていきます。このとき、二礼二拍手一礼を行います。なお、葬場祭なので二拍手は忍び手で音を立てないように行います。玉串奉奠などほとんどの人が経験がないでしょうが、前の人のまねをすれば問題ありません。

玉串奉奠が終わると、神餞を下げて、斎主や楽員が退場します。

司会者によって閉式の辞が述べられて、葬場祭が終了します。

この後、告別式が改めて行われることもありますが、一般的には葬場祭に引き続きお紺われることが多く、玉串奉奠をもって告別式としているところも多くなっています。仏式と同じで、告別式そのものは、神式でも儀式ではなく、あくまでも故人とのお別れためのものなので、葬場祭の流れで行われるようになっているのです。
神道では個人は家の守り神となる

葬儀といえば、日本では仏教が一般的ですので、人が死ぬとその御霊はこの世を離れあの世に行って仏となるという考え方が広まっています。では、神道では死んだ人の魂はどうなるのでしょうか?

神道では、人が亡くなることを帰幽(きゆう)といい、神となってその家を守護するようになると考えられています。なので、故人の御霊はその家に留まるという考え方になります。

また、死はケガレと考えられているので、忌み嫌われるものであり、そのために神聖な神社では行われません。そのために、お通夜も葬儀も故人の自宅か斎場で行うことになります。ただ、このケガレとは、不潔とか不浄という汚いものという意味だけではなく、気持ちが衰退している、元気がないという意味の『気枯れ』=ケガレという意味に通じているとも言われています。

神式独自の遷霊祭

通夜祭の後に引き続いて行われるのが遷霊祭(せんれいさい)です。移霊祭とか、御霊移しとも言われる儀式で、故人の魂をご遺体から霊璽(れいじ)に移す儀式になります。

先にも書いたように、故人の魂は神となって家に留まるので、その魂が留まる場所としての霊璽なのです。

死の国を象徴する暗闇にするために家の明かりはすべて消されるところから遷霊祭は始まります。この儀式は斎主が執り行い、霊璽に魂が移された後は、祭壇に安置した仮霊舎(かりのみたまや)におさめられます。

霊璽は、仏式の位牌のような形をしていて、中の木主に故人の零号や没年月日が書かれています。神となった故人の魂の宿る神聖なものなので直接目に触れないように覆をかぶせたり、扉のある祖霊舎の中に納められます。

遷霊祭が終わると、部屋の明かりがつけられ、斎主の位置杯の後に米や塩、水などを供えたのと、遷霊詞が奏上されます。玉串を捧げて最後の拝礼を行って儀式が終了します。

これで、故人の魂はその家の守り神となり、ずっと家を守っていくことになります。

通夜祭の後は、通夜ぶるまいに当たる直会(なおらい)の席を用意することもあります。
ご臨終の後は仏式とほぼ同じ

神式であってもご臨終の後のお通夜までは基本的に同じです。

ご臨終の後には、死に水で口元を清め、ご遺体をきれいに清めます。そして、死化粧を行います。ご遺体を寝かせるのも仏式と同じで北枕に寝かせます。このような風習は、宗教というよりも日本古来の風習で、基本的に日本全国どこへ行っても同じです。

枕飾りを用意するのも仏式と同じですが、枕飾りは基本的に対(つい。2つ)用意し、灯明(ローソクの明かり)、榊(さかき)を両サイドに置きます。真ん中には、三方に重きと水、盛り塩、お米をお供えします。そして、玉串を備えます。神式では、すべて榊が基本になるところが、他の宗教とは違います。

ここまでの準備が整うと、枕直しの儀を執り行います。家族や身内のものが故人を囲んで安らかに眠れるよう祈ります。そして、神棚と御霊舎(みたまや。先祖を御祭りしてある)に亡くなったことを報告し、両方に白い半紙をはりつけて神棚封じを行います。これは、神式では死はケガレと考えられているので、神棚等が穢れないようにするためです。

神式の通夜祭

通夜祭の準備として、祭壇を用意して、納棺を行います。また、遺影とお供え物を準備し、仏式の焼香にあたる玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行うので、玉串を準備します。

通夜祭では、手水の儀からはじまります。これは、神社の入り口にある手と口を清めるのと同じことを行います。柄杓を右手で持ち、水を汲んで左手を清めます。清めたら柄杓を左手に持ち替えて右手を洗います。次に、もう一度右手に柄杓を持ち替えて、水を左手で受けて口を清めます。その後、柄杓を縦にして、柄に水を流し手で持っていたところを清めます。ただし、これらを行っていると非常に時間がかかるので、最近は略することも多くなっているようです。

儀式を仕切るのは斎主(さいしゅ)で、斎員、楽員という人たちが関わります。通夜祭の最初には、喪主が一拝を行った後に、遺族、近親者、そして、知人や友人などが行います。この時、神社でお参りをするのと同じように、二礼二拍手一礼を行いますが、ケガレの場なので、二拍手は音を立てずに手を合わせる忍び手で行うので注意が必要です。決して音を立ててはいけません。

斎主が祭詞(さいし)を奏上(そうじょう)し、楽員によって誄歌(るいか)が奏楽されます。これが仏式でいうお経を上げるのと同じことになります。

最後に、仏式でいう焼香に当たる玉串を一人一人が祭壇に供える玉串奉奠を行って、通夜が終了します。

流れとしては、仏式とあまり変わらないのですが、それぞれの儀式の言葉が違うので、馴染みのない言葉が出てきますが、特に慌てることなく葬儀社のスタッフの指示に従えば問題ありません。