昭和55年12月号を筆頭に、数年分のセサミストリートのテキストを
ずっと大切に保管していたのです。
テキストは古いけど、今読んでみて、アメリカの脚本のあり方に
びっくりした対話があります。
ビックバードとスーザンはお店でランチの約束をします。
ビックバードは一応、鳥なので、粒餌(birdseed)を、スーザンは
野菜スープとチーズのサンドウィッチを注文します。
ビックバードは、折角、ランチを一緒にするのに、スーザンが自分と同じ
粒餌を食べないことには一緒にランチをすることにならないじゃない、と。
ビッグバードは、「Are you kidding me?」と、お互いにランチを楽しみに
していたのに、こんな反撃を始めたのにはちょっと衝撃的だったのです。
スーザンは異なるもの同士でも楽しくいられることを、
ビッグバードを通して、子供にとても分かりやすく諭すのです。
You'll have your birdseed because that's what you like, and I'll have
vegetable soup and a cheese sandwich 'cause that's what I like.
But we're eating together 'cause we're friends.. there's nothing
wrong with that.
訳)あなたはあなたで、大好きな粒餌を食べる、私は私で自分の好きな
野菜スープとチーズサンドを食べる。
でも、私たちはお友達だし、ここで一緒に食べましょうよ。
ちっともおかしいことではないでしょ。
日本でも学校は給食だし、同じテーブルに集まったら、
同じものを分け合うのがランチでしょ、と、正義らしいものを
子供でも振りかざしてしまいますよね。
ラーニア王妃(ヨルダン)の著書、「ふたりのサンドウィッチ」
(The sandwich swap)が世に出るこんなに前から敏感にこの脚本が
製作されているなんて、さすがアメリカだな、と。
登場人物の中のひとり、リンダは「アメリカン・デフ・シアター」の
リーダーで日本公演で有名になった女性なのだとか。
番組の中では、サイン・ランゲージやパントマイムをしていたようです。
見てる筈なのに、全然覚えてない。
約40年前の時点で、ヒスパニック系の方も登場人物として紹介されている。
裏表紙の広告が東芝のベータ方式のビデオ、¥238,000。
学習用の英語カセット全6巻 テキストと指導書付き、¥19,700。
そして、どんな年代の方が見ても、ほんのり笑えるユーモアさ。
製作側の優しさが滲み出てて、捨てられなくなるのです。
