猫はある日家出をする。
毎日の食事に不満をもったからだ。
ご主人の手を引っ掻いて、猫は振り返らずに走りだす。

何日も何日も、夢中で走って走って、猫はある遠くの公園にたどり着く。
ご主人とよく遊んだ公園。
猫は何だか寂しくなって、夢中で走った道を夢中で戻る。
何日も何日も、夢中で走って走って、猫はご主人の元へ。

けれどももとの場所にご主人はいなかった。
すっかりぽっかり空っぽな猫のお家。

猫はにゃーにゃーと泣き叫ぶ。
ご主人ご主人ごめんなさい。
あなたの手を傷つけてごめんなさい。
ご主人ご主人ありがとう。
僕はあなたと居られて幸せでした。

けれども猫の言葉は届かない。
ごめんなさいも
ありがとうも
あいしてるも
ご主人の名を呼ぶことさえ
猫にはもう出来ないのでありました。

ふわりふわりと不思議の国


貴女がアリス?


私がアリス?


純真無垢で


可愛らしい


物語を旅するのは


私か貴女




アリスアリスアリスアリス


ほら呼ばれてる


物語が始まる


早くお行きよ


貴女がアリス


私はここで


ページをめくるわ




開かれた扉


飛び込む貴女(アリス)


私はここで


ページをめくるわ




貴女はアリス


アリスは貴女


純真無垢で


可愛らしい


世間知らずの


お馬鹿さん




ああ


滑稽


恥さらし


笑いもの


そんなアリスに


哀れみを




私は姫


姫は私


私は此処で


旅に出る


王子を探して


旅に出る




なぜなら私は


お姫様

二匹の蝶が舞う
ヒラヒラヒラリヒラヒラリ
戯れるように
愛し合うように

追い付いて
追い越して
捕まえて
捕われて

羽が触れ合い
鱗粉を忍ばせ
この人は僕の
僕のものだよ
と、誰かに知らせる

逃げないで
傍にいて
僕のものでいて

逃げないから
傍にいるから
僕をキミのものにして

壊れそうなほど
狂いそうなほど
死んでしまいたいほど

僕はキミがすきなんだ