とあるケーキ屋さんのガラスケースの中に、「今の世の中」という名前のショートケーキが並んでいた。
何層にもなったスポンジの一番上に、白い生クリームのようなものが分厚く塗られ、その上にイチゴやパイナップルなどのドライフルーツを賽の目に刻んだものがトッピングされている。
見栄えはたいして変わり映えしない、ありきたりのショートケーキだ。
一般的にケーキ類の名前はカタカナ表記のフランス語風で、尚且つ発音がし辛いような名前が多いのだが、こういう純和名風のネーミングは珍しい。
そのケーキを目敏く見つけたおばちゃんたちが、お決まりの購買談義を始める。
「ねぇねぇ、このケーキ、おいしそうじゃない?」
「え?どれ?」
「ほら、これよ。」
「これって・・・・どこにでもあるようなケーキじゃない。」
「確かにね~・・・・。」
「でも安いし、買ってみようかしら?」
「あんた、安いもんには弱い性格やね~。」
「安くて美味しかったら、得した気分になるじゃん!」
「ほんなら買ってみたら?」
「このケーキ、甘いのかしら?」
「甘いわけないじゃん!」
「食べる前から、どうしてそんなことが判るん?」
「だって名前が「今の世の中」やん!」
「だから?」
「今の世の中・・・・決して甘くはない。( ̄^ ̄) エッヘン」
「ええ~!そんな洒落で名前つけてるん?」
「さあ? 店員さんに聞いてみたら?」
そんなところに、タイミングを計ったように店員さんが現れる。
「すみません。」
「はい。^^」
「このケーキ、甘いですか?」
「はい、甘いですよ。^^」
「ええ?甘いのに・・・・「今の世の中」なんですか?」
「はい。^^」
「じゃあ、どうしてこんな名前なんですか?」
「それはですね・・・・^^」
「はい。」
「腐りかけてるんです。」
ヾ(--;)ぉぃぉぃ