生命の維持になくてはならない物質

コレステロールは全身の細胞膜の成分になる重要な栄養素です。 

特に脳を含めた神経細胞を覆う成分として多く使われています。

また男性、女性ホルモンやビタミンDの原料となります。さらに食事の脂質やビタミンの吸収を助ける胆汁酸の原料となります。
これらは生命の維持になくてはならない物質で、細胞が正常に機能するために必要なものです。

 

出典元 2016DBCLS Togo TV

 

食品から吸収されるコレステロ-ルの量は個人差が大きい

コレステロ-ルは主に肝臓で作られています。これが全体の80%ほどを占めており、食品などから摂取されるコレステロ-ルは20%程度です。

食品に含まれるコレステロ-ルの体内への吸収は個人差が大きく20%~80%程度といわれています。

食物繊維を多く含む食事ではコレステロ-ルが吸収されにくくなります。

 

出典元 2016DBCLS Togo TV

 

HDLとLDL

肝臓から出てきたリポ蛋白という物質が小さくなったものをLDLといい、その中に含まれるコレステロ-ルをLDLコレステロ-ルと言います。肝臓や腸から体の各組織へコレステロ-ルを運ぶ大事な役目を負っています。

しかしLDLコレステロ-ルが多すぎると、血管壁に入り込み動脈硬化の原因になります。

 

HDLは体の細胞から使われなくなったコレステロ-ルを肝臓に運ぶ粒子でその中に含まれるコレステロ-ルをHDLコレステロ-ルといいます。

HDLは動脈硬化を起こした血管からコレステロ-テロ-ルを引き抜くことが出来ます。

 

出典 日経電子版

 

動脈硬化

細胞は必要以上のコレステロ-ルを取り込まないため、余分なコレステロ-ルは血液中を巡回します。

しかし、LDLコレステロ-ルが多過ぎると血管内に付着し動脈硬化を起こします。

動脈硬化を起こすと,血液を送る血管の内部が細くなり、血液が不足して狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなってしまいます。

 

狭心症

心臓に血液を送る血管(冠状動脈)にプラ-クと呼ばれるコレステロ-ルが蓄積し、心臓が必要な血液を確保できないために起こる症状です。

 

出典 American Heart Association

 

心筋梗塞

冠状動脈が血栓でふさがれた状態です。

この症状を起こすと心筋梗塞になり、一刻を争う状況に陥ります。

 

出典 American Heart Association

 

善玉コレステロ-ルを増やす有酸素運動

喫煙や運動不足によってHDLコレステロ-ルは下がってしまいます。また糖尿病や栄養不足、激しい消耗状態でも下がります。。

反対に運動することによって中性脂肪が減少し、HDLのコレステロ-ル値は向上します。

 

ジョギングなどの有酸素運動をすることでHDLの数値が上がります。

運動は、中性脂肪が高い人にも大変有効です。 少し息がはずむ程度の軽いジョギングをおすすめします。。

肝心なのは継続することです。中断しないよう、無理のない運動をしましょう。。

 

 

日本動脈硬化学会ではLDL コレステロ-ルが140mg以上、HDLコレステロ-ルが40mg未満、中性脂肪が150mg以上の人は脂質異常を疑うとしています。
 

しかし、これらの基準を超えたからといってすぐにお薬を使うように示しているわけではありません。

 

主治医と相談しながら、生活習慣や食生活を改善し、さらに高血圧や糖尿病、飲酒、喫煙などの危険因子をチェックしてもらい、その上で必要ならばお薬を使ってコレステロールの値を適切に管理することが重要です。

 

 

 

2015年2月にアメリカ農務省と保健福祉省から,食事でのコレステロール摂取制限は必要ないとの発表があり、また、日本でも厚生労働省による「日本人の食事摂取基準2015年版」ではコレステロール摂取の上限値がなくなりました。

 

これは摂取したコレステロ-ルが血液中のコレステロ-ルに与える影響に個人差があるためです。

 

現在,高血圧や糖尿病、喫煙など他の動脈硬化疾患の危険因子をお持ちでなく、LDLコレステロール値が高くない方は、現在の食事内容でコレステロールを制限する必要はありません。

また75歳以上の高齢者ではコレステロ-ルを抑える食事療法は低栄養のリスクを高めるので注意が必要とされています。

 

 

しかし、一般成人でLDLコレステロール値が高い人についてはこれまでどおり、食事でのコレステロール摂取制限が必要であり、同時に飽和脂肪酸についても必要です。

 

医師や管理栄養士の指導を参考にして食事療法を行ってください。
定期的にコレステロールの検査し、その変化をみながら食事療法の効果を判断し、継続できる食べ方を探っていきましょう。

 

食事は楽しむことも必要ですので、無理のない食事療法が大切です。

 

 

以上は日本動脈硬化学会のホ-ムペ-ジより引用しました。