砂糖が無くなってしまった。無くなったとはいっても、以前に買った砂糖は、まだ残っている。近所のスーパーで、砂糖1キロが、120円くらいで売っていて、「1キロなんて、絶対にいらないが、腐るものじゃないだろうし、安い気がするので買ってしまおう」と購入した。しかし、手元の砂糖入れは小さくて、1キロの3分の1ほどしか入らず、置き場所もないので、とりあえず、残りの砂糖は、袋をガムテープでぐるぐる巻きにして、冷蔵庫に放り込んである。

さて、冷蔵庫の奥にしまいこんである砂糖。買ったのは1年以上前のような気もする。使い切るのはいつになるのか？さぁ、いでよ！残りの砂糖！！

完全に石。

完全に石である。砂糖は冷蔵庫の中で、完全に固まっていた。殴ったら人を殺せる程度には固い。金属製のスプーンでガジガジやっても、申し訳程度にしか削れない始末である。どうしよう？

試行錯誤の上、誰がいつ買ったのかわからない、謎の文鎮的な鈍器でぶん殴ることによって、丁度、真っ二つに割れてくれた。なんでも、砂糖というヤツは、乾燥すると固まる性質があるらしく、冷蔵庫のような、乾燥した場所に置くと、カッチカチになるらしい。しかし、こんな状態になっても、ちょいと水分を与えてやれば、いい感じにほぐれれ、元に戻るというではないか。とりあえずぼくは、砂糖入れに、砂糖という名の石を放り込んだ後、綺麗な布巾をきつく絞って被せて、その上にフタをのっけて、放っておくことにした。

次の日。

砂糖入れのなかには、変わらず、砂糖という名の石が鎮座している。何も変わっていない、布巾をきつく絞りすぎたか、大失敗の予感を感じつつ、ぼくは、恐る恐る、石にスプーンを突き立ててみた。

さっくさく～

なんの力もいらずに、砂糖はホロホロと崩れていった。昨日の頑固さがウソのように、サラサラの砂糖に戻ったのである。これがおばあちゃんの知恵袋的なアレの威力か、ありがとうおばあちゃん、今日からぼくも、立派なおばあちゃんである。

次に砂糖入れが空っぽになるのが、いつのことかは知らないが、きつく絞った布巾があれば、砂糖がサラサラになることを知ったぼくにとっては、砂糖の補充など造作もないことは、わかった頂けることであろう。

ぼくの人生につづく。

さらさらの巻。