王仏冥合の大精神
創価学会が政治の問題を取り扱うことについて、疑惑がある人がいるかもしれませんから、その点について、私の確信を申し上げておきたいと思います。
いまや、世界の状態をみまするに、資本主義の民主主義の国と、生産と消費の経済をやっている国との二つに分けられます。国の名前をあげれば、一方はアメリカ、イギリス、フランスを中心とし、一方は、ソビエトを中心とした、二つの変わった経済圏があって、そのおたがいが、いつ爆発するかわからないような状態になっている。あるいはまた、おたがいに妥協したりしているのが、今日の世界の情勢であります。
それに加えて今日は、今のインドを中心とした中東諸国の民族主義が台頭しつつあるのであります。いずれも、この国家は、わが国の民衆の利益を考えているものであると信ずるものであります。
私はどれがよい、これが悪いと言えません。ただ、ここにインドの社会党という党がありますが、社会の福祉ということを基本問題としていると思うのであります。
たとえば、ここに、失職した人がいると、六か月間、月給の補助をくれる。あるいは、食えない人間がいると、六千円出すとかいっていますが、これは、ひじょうに結構なことで、これに反対するものではありません。
しかし、そのことが、個人の幸福と一致するかどうかということが問題です。社会が繁栄しなければならんし、また民衆の繁栄だけではなくて、朝鮮も、中国も、インドも、あらゆる国が一様に繁栄しなければならないと思うのです。
社会の繁栄のために個人を犠牲にすることは絶対にいけない。社会が繁栄するとともに、個人の幸福も増大しなければならない。これが、王仏冥合の精神であります。この仏法のために、われわれは、政治の指導者を出していこうというのであります。
このたびの大阪において、われわれの同志が参議院選挙に立った。これは、私の本意どおりのことであります。かんたんに私の政治論を話して、きょうの講演にかえるしだいであります。
昭和32年4月7日
関西総支部総会
大阪球場