牧口クマ刀自を悼む
戸田城聖つつしんで申し上げます。あなたと私が、初めてお目にかかりましたのは、今から三十八年前であります。それいらい、故牧口先生を、親とも師匠ともたのみ、あなたをば、姉とも友だちともという仲においての三十八年、顧みますれば、昭和十九年に先生がなくなりました時の、あの時のようすを、私が牢から帰ってうけたまわりまして、じつに人生の、人の心のたのみがたいことを泣きました。
願わくは、私の力の限り、またあなたの命のある時代において、先生の真心を、人生にたいする慈愛を、この世に残したいと念願いたしました。その時の先生の葬式は、わずか六人か、七人の見送りですんだと聞いておりますが、本日、あなたを見送りする創価学会は、少なくとも、私の一生をかけた一つの記録であります。
願わくは、あなたが、もし先生にお目にかかる儀あるやなしや、それは、死後の生命については知りませんが、もしお目にかかる時がありましたならば、城聖、心のかぎり、先生のあとを継いで闘争していると申し上げていただきたいと思います。これをもって、私の弔辞にかえます。
昭和31年10月29日
牧口クマ刀自の学会葬
日蓮正宗常在寺