化儀の広宣流布
私が大阪に月一回、あるいは二回まいります理由は、大阪の会員諸君のなかから、病人および貧乏人を絶対になくしたいという念願のためであります。
思うに、日蓮大聖人様は『念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊』とおおせられて、邪宗を徹底的に折伏なさいました。すなわち、念仏宗は無間地獄に落ちる。禅宗をやるものは天魔の所為である。真言は亡国である。この理由については、承久の乱の時に、高野山において十五壇の修法を行なった。これは、あの宗派では最高の秘法であるにもかかわらず、この祈とうの途中において、京都の天皇方が大敗を喫したのであります。
もし、真言に力があるものならば、必ずや天皇のほうが勝たねばならない。今度の戦争においても、近衛公が高野山に修法を頼んだ時も、サイパンが陥落しているし、また昔、皇后陛下が高野山へ修法をお願いした時においては、新潟の大火があった。このように、邪宗は恐るべきものであります。
この邪宗からことごとく足を洗わせ、正しい信心のうえに立つならば、必ずや幸福になってこなければならないわけになっております。それを、あなた方の脳に、はっきりと焼きつけたいのが、私の念願であります。
なにごとも御本尊様第一に、この御本尊様に真剣におすがりする心があれば、必ずしあわせになるのです。幸福にならないわけはないのです。それを、あなた方に期待したいのが、私の念願であります。
創価学会を大きくしたいとか、あるいは、創価学会をこうするというような、小さな精神は私にはありません。
なぜかならば、私は、大聖人様の弟子であります。大聖人様が、佐渡よりお帰りあそばされた時に『三千貫の領地をあげる。りっぱなお寺を建てて差し上げる。法華経をひろめてもいい』との条件で国家のために祈ってほしいと言われた。その時の大聖人様のおおせには『なにも私は、法華経をひろめることを許してほしいと願っているのではない。国家を救わんがために、いっさいの邪宗をたたきだしてしまって、法華経一宗になすべきだと論ずるものである。これだけ言ってもきかなければ、これで三度いさめたのであるから国を去る』とおおせられまして、身延山へおはいりあそばされたのであります。その弟子たる私が、利欲のために、創価学会のために、なんで働きましょうか。
民衆救済こそ、日蓮大聖人様の弟子たる者の覚悟でなければならないと信ずるものであります。
しこうして、大聖人様は、化法の広宣流布をなされた。すなわち、大聖人様の広宣流布は、法体の広宣流布でありまして、後のわれわれ弟子に向かっては『化儀の広宣流布、すなわち本門戒壇の建立』を御命令であります。今まさに、その時です。断じて、われわれの手で、広宣流布をしなければならない時がきているのであります。
これにつけて、昔の広宣流布の仕方は、一国の帝王を折伏して一国に広宣流布しようとする方程式をもっておりました。帝王付属がこれであります。
しかるに、今日の時代には、天皇陛下がこの御本尊様を拝んだところで、断じて、広宣流布はできないのであります。いかんとなれば、国家の権利は、民衆に主権が移っているのであります。ここに、政治活動ということが考えられなければならないのであります。
学会人のなかからも、今後、選挙に出ると予想されています。とうぜん出ますが、それは広宣流布のためであります。根本問題はここにあるのです。
このほかに、学会が選挙を行なうことについて、ひとこと心得ておいていただきたいことは、選挙をやることによって、各支部の信心ががっちりと成り立っていくということです。なぜならば、学会の選挙は公明選挙であります。だんぜん、金は使わない。出馬を予想されている顔ぶれを見ればわかるでしょうが、みんな貧乏人ばかりです。金なんか持っていません。月賦払いに、きゅうきゅうとしている人もいるのです。学会には、そんなことに使う金などはない。会費をもらっているわけでもなく、わずかばかり、皆さんに御協力願っている金は、そんなことに使うわけには、断じていかない。そうなれば、公明選挙以外にない。がっちりと信心のうえに立つことであります。
今、日本の政府がたてていることは公明選挙でありますが、これは、公明選挙ができないからであります。一千万なければ参議院に出られないなどという。一千万のお金を使ってなにになる。あとでもうけようと思うからよいであろうが、もうけられてはたまったものではない。そういうことは、絶対、国家のためによくない。
この点を創価学会が革命していくのです。われわれは、公明選挙をするのであるから、堂々たるものである。また、選挙には、ひじょうに棄権が多いが、国民の権利として与えられたものを行使しないということは、まことに遺憾なことです。これを教えることは、選挙への協力であります。国家から、おおいにお礼を言われねばならないことを、われわれはやろうというのです。
この堂々たる創価学会の確信と行動において、皆さんも、よく根本において、広宣流布のため、皆さん自身のため、学会のため国家のためにやる行動であることを知っていただきたいのです。大確信に向かって行動していただきたいと思います。以上をもって、私の講演にかえます。
昭和31年4月8日
関西連合総会
大阪球場