貧困な身延教学

 

『創価学会批判』という日蓮宗宗務院編纂による本を刊行して、小樽問答以降の動揺した宗内を防がんとした底意は見えすいている。だが、同書を一読して感ずることは、身延派が立正大学の権威者を動員して作ったものとしたなら、まことに非力な、あわれむベき教学である。

 

 その内容たるや、貧困そのものであり、数百年来、宗祖を看板にして、民衆をおう惑してきた実体を、白日のもとにさらされて、その醜状を塗弊せんとして、まったく周章狼狽しているが、この最後のあがきも、かえって馬脚を現わすために、拍車をかけるにほかならぬ。

 

 内容は、いずれ教学部が破折することになろう。歴史編のはしがきにおいて、宗門で堀猊下を擯出したかのごとく書いているが、猊下御自身の談話でもわかるように、まったく無根の誹謗である。また先師牧口先生が、古い石山信者の家の生まれから堀猊下を責めた古い石山信者と同じ観念をもった、父母か先輩に相伝教学を聞いて、それで学会にうえつけたのだろう等と勝手な断定をしているが、先師は昭和三年の入信で、こんな妄説はあたらぬ。

 

 当門の碩学、堀猊下には一指もさせず、学会を切り離そうとたくらんでいるようだが、先師牧口先生は堀猊下の畑毛雪山荘建設に御尽力申し上げており、現在、猊下と学会は、切っても切れぬ密接な関係にあり、学会の教学も、猊下の御指導に仰ぐところ大である。

 盲蛇におじず、根拠もない妄説を振り回す身延派宗学者の不見識ぶりを示したにほかならぬものである。

 

昭和30年8月28日

『創価学会』批判談話

学会本部