財務部員の心がまえ
財務部員諸君には、ひじょうな負担をかけて、すまないと思う。ひとつの会が運営されるとき経費がかかる。
これが諸君の負担になることを、心苦しく思います。しかし、それも大御本尊様のため、わたくしを守っていただきたいと思う。
牧口先生当時は、わたくしひとりで財務をやってきたが、今日、全国闘争にはいり、また寺院の建立といい、みなさまの力を借りなければならぬと思います。どうか、よろしく願います。
きょう女の子が、『風霜』という本を読んでいた。高杉晋作が、防長二州をもって、革命をやろうという本ですが、同じ本を読ましても、女の子と男の子はぜんぜん違う。女の子は、こんな亭主をもってよいか悪いかと考える。男の子は、このような人になれるかどうかと考える。高杉をみると、妻がいるにもかかわらず、たまにしかあわない。周布は藩の政治をつかさどって、どっしりとしている。女の子は、周布の方が安定性があって、安心できるといった。学会はこうありたい。
わたくしの精神をいいますと、会に金があると争いが起こり、それをものにしようとする空気が流れる。学会は、初代会長牧口先生の意志を堅持して、貧乏でいきたいと思うが、どうか。
ふだんの心がまえができていないから、突発的に資金の入用ができた場合、組は組で、班は班で、地区は地区で、支部は支部でたのむ。たのむ側は四つで、引き受けるのはひとつでは、たいへんです。今後、各支部、地区で金を集めないで、どうしても必要なときは、本部一本でやっていきます。金がなければ、折伏に行かなくてもよろしい。むりにも行きたければ、もうけて行きなさい。
今後、地区、班で金を集めたら、そのようなところはつぶれます。むかしは、自弁でやった。近ごろ、この金を集めることがはやってきた。これは、今後、ぜったい中止する。
みなできるわけなのです。なぜならば、御本尊様からもらって行けないわけはないから。わたくしは、このような精神でやるから、わたくしに内しょでやろうというのはだめです。
昭和29年5月18日
財務部員会
東京教育会館