昭和二十七年
私は折伏の師
きょうは、めんどうな話しはいたしません。めんどうな話が聞きたかったら、金曜(講義)においでください。わたくしは日蓮大聖人様のおおせと、自分の確信以外は話しません。
和泉君の総支部長就任は、学会の大きなこころみであります。江東四支部に求める人材、和泉君は、牧口門下で、わたくしの門下生でないにもかかわらず、戦地から帰還いらい、数年間の学会から離れた遅れをとりかえさんがため、わたくしの法華経の講義を十回聞き、その十回の変わりを、いちいち聞きわけたほどの秀才であります。
和泉君は、わたくしの門下でなかったにもかかわらず、夫婦ともに、真心こめて、実によく仕えてくれております。これは、わたくしが末法七百年における折伏の指導者であることを信じきっているからであります。この和泉君を中心に、一致団結して、七百年の時機を逃さず、成仏の大功徳をうけてください。
初信後は、過去世の謗法の罪が出ます。これを戦いつくして、ほんとうの成仏の功徳を、つかみ取ってください。
一例ですが、いま、考え合わせると、二十五、六年前に折伏した長屋のおかみさんが、いま一億の大財産を、信心ひとつでつかんだと聞いて驚いた。これ成仏の証拠であります。初信の功徳は法力の証拠であって、成仏の証拠ではありません。成仏の証拠は、このおかみさんのように、死ぬまでに、生活の上で、大きな功徳を受けることあります。この成仏の証拠をつかむ方法は、大御本尊様をぜったいに信じきること。いかなる願い、いかなる祈りも叶わざるはない。
次に折伏であります。じつに骨が折れて、そのたびごとに文句をいわれる。これで罪障を消して、成仏の功徳をつかむことができる。
わたくしはあすで満五十三歳となる。この前夜、こうして、みなさんにお目にかかって、折伏しろというのは、あなたたちのためで、しかも、日蓮大聖人様にお目通りするには、これ以外ないのです。
折伏は戸田が師匠であります。師弟の縁がきまった以上、罪はわたくしがきる。みなさんは、幸福になりなさい。わたくしは、いままで日蓮大聖人様へのお約束を、はたさなかったがために、万々の罪をうけました。今後死ぬまで、このからだを、御法のためにささげます。みなさんは、信心まっとうにして、功徳をうけなさい。次は、折伏に励んで、日蓮大聖人様にお目通りしなさい。
この総支部長のもと、信心と折伏をもって、戸田の一門として通しなさい。
昭和27年2月10日
江東総支部第一回総会
日蓮正宗向島常泉寺