語訳(妙法蓮華経如来寿量品第十六)……見開きページ(662-663㌻)
り。
【薬発し悶乱して地に宛転す】天台では、三界に堕在すという。文底の仏法では、邪宗の害毒が体の中にしみこんで、その毒が発して、もだえ苦しみ、地獄におちて、地を転げまわるというのである。
御義口伝(七五四㌻)にいわく、
「宛転于地とは阿鼻地獄へ入るなり云云」
【是の時に其の父還り来って家に帰りぬ】文上の天台では、三千年前に久遠の仏がインドに釈尊として応生したと説く。文底の仏法では、末法の時に、久遠元初の自受用身が、娑婆世界の中でも、この日本国に、日蓮大聖人として再誕されたことをいうのである。
【諸の子毒をのんで】天台では、「邪師の法を信受するを名けて飲毒と為す」と説く。
御義口伝(七五五㌻)にいわく、
「諸子飲毒の事は釈に云く『邪師の法は信受するを名けて飲毒と為す』と、諸子とは謗法なり飲毒とは弥陀・大日等の権法なり、今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉るは毒を飲まざるなり」
日蓮正宗以外の宗教は、飲毒の邪宗であり、邪宗を信ずる者は飲毒の諸子である。
【或は本心を失える或は失わざる者あり】天台では失心とは三界に貧著して、先に植うる所の三乗の善根を失うこと、不失心とは五欲に執著すといえども、三乗の善根を失わないなどと説く。
しかし、文底の仏法では、失心とは久遠元初の下種を忘れた逆縁の者であり、不失心とは久遠元初に御本仏のおそばにいたことを忘れていない順縁の者である。
御義口伝(七五五㌻)にいわく、
「第七或失本心或不失者の事
御義口伝に云く本心を失うとは謗法なり本心とは下種なり不失とは法華経の行者なり失とは本有る物を失う事なり、今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉るは本心を失わざるなり云云」
【遙かに其の父を見て皆大に歓喜し】天台では「色心を見ても法身を親奉することができないから遙という」などと説く。
文底の仏法では、其の父とは末法御出現の日蓮大聖人のことで、末法の衆生はみんな大いに喜んだのである。
【拝跪して問訊すらく】拝しひざまずいて、お願い申し上げた。
【安穏に】ご無事に。
【愚癡】おろか、バカということ。
【誤って毒薬を服せり】あやまって、毒薬である邪宗教を信じた。
【救療せられて】お救い下されて。
【更に寿命を賜え】さらに強き大生命力、あらゆる功徳を下さい。
【経方】天台では十部の教なりと説く。文底の仏法では、寿量文底に秘沈された大白法をえりすぐること。
【薬草】天台では、教の所詮の八万の法門なりと説く。末法の仏法では一大秘法の大御本尊をいう。
【色・香・美味】天台では、色とは戒、香とは定、味とは慧、すなわち色香味を三学なりと説く。また色は般若、香は解脱、味は法身すなわち三徳なりとも説く。
文底の仏法では、色とは虚空不動戒、本門の戒壇、香とは虚空不動定、本門の本尊、味とは虚空不動慧、本門の題目、すなわち三大秘法なりと説く。これを図示すれば、次のようになる。
色……戒ー本門の戒壇 色……般若ー報身
香……定ー本門の本尊 香……解脱ー応身
味……慧ー本門の題目 味……法身ー法身
【擣簁和合】ふるったり、ついたりして薬を調製することである。すなわち一代聖教を取捨撰択して、南無妙法蓮華経の大御本尊を取り出されたことである。
御義口伝(七五五㌻)にいわく、
「第八擣簁和合与子令服の事
御義口伝に云く此の経文は空仮中の三諦戒定慧の三学なり、色香美味の良薬なり擣は空諦なり簁は仮諦なり和合は中道なり与は授与なり子は法華の行者なり服すると云うは受持の義なり、是を此大良薬色香美味皆悉具足と説かれたり、皆悉の二字万行万善・諸波羅蜜を具足したる大良薬たる南無妙法蓮華経なり、色香等とは一色一香・無非中道にして草木成仏なり、されば題目の五字に一法として具足せずと云う事なし若し服する者は速除苦悩なり、されば妙法の大良薬を服するは貧瞋癡の三毒の煩悩の病患を除くなり、法華の行者南無妙法蓮華経と唱え奉る者は謗法の供養を受けざるは貧欲の病を除くなり、法華の行者は罵詈せらるれども忍辱を行ずるは瞋恚の病を除くなり、法華経の行者は是人於仏道決定無有疑と成仏を知るは愚癡の煩悩を治するなり、されば大良薬は末法の成仏の甘露なり、今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉るは大良薬の本主なり」
【子に与えて服せしむ】天台では、この法をもって漸頓の衆生に与えて修行せしめたことと説く。
文底の仏法では、三大秘法を末法の悩める衆生に授けられたことである。
【大良薬】南無妙法蓮華経の大御本尊。一大秘法のことである。
【衆の患なけん】どんな悩みも解決するであろう。
【除こり愈えぬ】悩みが解決した。
【求索むと難も……肯て服せず】病気を治したいと願いなが