喀血して危険な状態
【問】 弟は二月に信心しました。御座替わりの時、登山した後、大きな喀血をして、現在も危険な状態にあり
ます。年齢は二十七歳です。
【答】 ふつうの結核ですか、粟粒性ですか。
返事があやふやのようですが。粟粒性といえば、一年もたぬ。普通の喀血なら、たいてい粟粒性ではないと私
は思う。本人が、ほんとうの信心ならば、喀血だけでは死にますまい。粟粒性なら相わからぬ。だが、粟粒性で
も、こういう子がいるのです。
いまから四年前に、私が仙台へ行った時に、向こうの応用化学を出ている青年で、すこぶる優秀な青年だと、
私はいつも見ていたのです。それが、私が行った時に、出てこないのです。おかしいと思って呼んでみたら、も
う、ふうふうになっていたのです。本人は肺病だといって、泊っている家も追い出されると思って、肺病でない、
肺病でないとがんばっていたのです。だが、病気はひじょうにつのってしまって、そして、あまりにかわいそう
と思うので、本山へ連れてきたならばなおるだろうと思って、その時粟粒性とは思わないですからね。お山へ連
れてきたら、一度に安心してしまって、もうたいへんなのです。本山では、それは困るといってね。本山では、
肺病などはいないのです。こういう空気のきれいな所だから、そこへ私が肺病をつれてきたから、本山では怒る
は、怒るは、これはたいへんです。そして、早く連れて帰ってくれというのです。それは、もっともな話です。
そこで、早く連れて帰って、駿河台の病院へ入院させたのです。そして、診断は、粟粒性結核で絶対だめだと、
もしなおっても、五年間たたなければ、常態にならないだろうといわれ、それから、一日に注射二十何本打って
やってみたら、とうとう死ななかったのです。そして、何とかいう療養所に、まだはいっていますがまだ死んで
おりません。今年で四年めですから、医者のいうとおり、結局今度は、なおるのではないですか。
肺病とはそういうものです。粟粒性というのは、昔から決まって半分以上はもたないということになっている
のです。これはリンパ性という、死んだ後の肺をみると、軽石のようにポカポカ穴があいている、そういう乱暴
なばい菌がいるのです。それにかかってはかないません。ふつうの肺病菌であったならば、絶対安静などしない
で、寝たい時に寝て、起きたい時に起きて食べたいものを食べて、眠っていれば、だいたいなおるのです。
その証拠が僕なのです。十年間、毎日、喀血したのです。最後に、金だらいに五つか六つ、きれいな血が鼻か
ら出る、口から出てくる、大喀血で、一か月寝て、最後の時には酒を一杯持ってきてくれといって、僕はどうも
酒を使う所は、舎利弗さんと四条金吾殿に似ているらしいのです。そのわけはあとにしますが、ぐっと飲んだら、
ぐっすり寝たのです。起きたら、なおったのです。それ以来、絶対だいじょうぶなのです。喀血を金だらいに五
つぐらいしたのです、一回にですよ。マルコポンという注射をして、僕は一週間も続けて寝たのですから。で、
医者に、死ぬ時いってくれといったのです。
医者の薬は、絶対飲みません。医者の薬でなおるとは、絶対に思いません。御本尊様一本でなおしたからだな
のです。本人に信心があればなおるだろうし、信心がなければなおらないだろうし、ご返事はそれっきりです。
その信心だって、信心によりけりです。命を御本尊様に差し上げるくらいの、ほんとうの決意をもった題目だ
ったならば、なおらないわけがありません。