長男が不良で帰ってこない

 

【問】ことし十七歳になる長男に、悪い友だちがついて、よそへ泊って帰ってきません。下山すれば帰ってい

るでしょうか。どういう不良かというと、パチンコ屋へいっているのです。学校の成績は、だんぜん悪く、兄

妹ふたりで家は建築業でこづかいは自由にさせず月五、六百円から千円くらいにとめております。父親はかた

い人で、家の教育はやかましく、はじめのうちはせっかんしましたが、今はなにもいいません。母親も同じで

す。

 

【答】 これはいちばん、重大な問題です。お山にきているうちに帰ってきます。この後は三段の教えがありま

す。外道の方から、仏法のほうまで話してみましょう。

 子供をよく育てる方法として、いちばん大事な家庭教育があります。子供とケンカするくらいに母親が口やか

ましいことが理想です。父親はあまやかし放題あまやかす。男の子は年ごろになると、父親をなんとなくけむた

く、なんとなくいやになるのです。その本能を知って、子供の人格を尊重してやる育て方をする。母親はうんと

やかましくしなければなりません。子供の畜生道に負ける母親は、子供を育てられません。子供が不良になった

ら、殺して死ぬという覚悟がなくてはいけません。世の中に、慈悲ほどこわいものはありません。情ほどこわい

ものはありません。母親の愛情は、父親と段違いです。

 

 信心の問題にはいります。いちばんやさしく、ご利益のあることは肺病がなおることと貧乏人が金持ちになる

ことです。めんどうなのは気違いをなおすこと、それにもましてめんどうなのは、死ぬべき命をのばすことです。

 不良をなおすこともめんどうです。不良がなおった例はいくらでもあります。深い深い信心が必要です。子供に

信心させることです。

 仏法上の根本問題は、そういう子供を生んだ両親の宿命です。その子をじっと見たとき、この子をりっぱにし

なければいけない、この子こそみずからを仏にするのかと、拝むようになる心境こそたいせつです。