戸田城聖全集質問会編 221 親が信心しない
〔質問〕 親が信心しませんが、どうしたらよいでしょうか。
それは、法華経に妙荘厳王品という経文があります。妙荘厳王品というのは、おもしろい経文です。この経文には、父親の妙荘厳王と母親の浄徳夫人と浄蔵、浄眼の兄弟の、四人のことが説かれています。
この四人のうち、父である妙荘厳王だけ信心をしないのです。そこで、母と二人の兄弟でなんとか、父を信心させようと努力するのです。ところで、この四人は、過去世に約束をしているのです。同志として四人が生活をしていたときに、三人は修行に出て、一人だけは家に残って、家事いっさいを受け持ったわけです。そして「自分は家事、身のまわりのことは、すべてやっていくから、三人で学んだことをあとで教えてもらいたい」と。四人はおたがいに協力しあって修行に励みました。
この四人は、一人は王となり、一人は后となり、あとの二人は子供として生まれあわせたのです。ところが父だけ信心しない。じつは過去世に修行に出ず、家事を受け持っていたわけです。そして三人は、父を信心させるために苦しんだり、悩んだり、相談したりする、この姿は過去世に修行に出た三人であって、いま「三人で学んだことを教える」と約束したことを果たしている姿なのです。
浄蔵、浄眼の兄弟は、父親である妙荘厳王を信心させるには、どうすればよいか、仏のところへ指導を受けにいきました。そして、仏から「信心修行に励み、神通力を現じなさい」と教えられ、そのとおり実践して、ついに父王を信心させることができたのです。神通力とは、いまでいえば、御本尊様を拝んで功徳を受け、りっぱになることです。
あなたが、財産かせいで、ほんとうに親孝行ができたら、親があなたのいうことをきかないというわけがありません。それを自分が親孝行もしないで、親に心配をかけて。へ理屈ばかりいっても、そんなことで親が信仰するわけがありません。自分がまじめに信心して、功徳を受けて、そして親も感心させて、兄弟も救い、そうすれば母親がいうことをきかないわけがないのです。
それを理屈ばかりで、いやこの信仰が正しいのだとか、なんだとかいって、話してみたところで、相手がきくわけがありません。自分の息子の姿を見て、たいしたものではないと思っているのに、それで信仰しなさい、信仰しなさいといっても、だれのために信仰するのです。
自分がまず成功するのです。まじめに働いて、それから親に話すのです。きかないわけはありません。絶対きかないわけはないのです、ききます。わたしは、そういう確信です。わたしはぜんぶ、そうしてきました。