戸田城聖全集質問会編 211 長男が不良で帰ってこない
〔質問〕 今年、十七歳になる長男に、悪い友だちがついて、よそへ泊まって帰ってきません。下山すれば帰っているでしょうか。どういう不良かというと、パチンコ屋へいっているのです。学校の成績はだんぜん悪く、兄妹二人で、家は建築業で、こづかいは自由にさせず、月五、六百円から千円くらいにとめております。父親はかたい人で、家の教育はやかましく、はじめのうちはせっかんしましたが、いまはなにもいいません。母親も同じです。
これはいちばん重大な問題です。お山にきているうちに帰ってきます。この後は三段の教えがあります。外道のほうから、仏法のほうまで話してみましょう。
子供をよく育てる方法として、いちばん大事な家庭教育があります。子供とけんかするくらいに母親が口やかましいことが理想です。父親はあまやかし放題あまやかす。男の子は年ごろになると、父親をなんとなくけむたく、なんとなくいやになるのです。その本能を知って、子供の人格を尊重してやる育て方をする。母親はうんとやかましくしなければなりません。子供の畜生道に負ける母親は、子供を育てられません。子供が不良になったら、殺して死ぬという覚悟がなくてはいけません。世の中に、慈悲ほどこわいものはありません。情ほどこわいものはありません。母親の愛情は、父親と段違いです。
信心の問題にはいります。いちばんやさしく、ご利益のあることは、肺病がなおることと、貧乏人が金持ちになることです。めんどうなのは気違いをなおすこと、それにもましてめんどうなのは、死ぬべき命を延ばすことです。不良をなおすこともめんどうです。不良がなおった例はいくらでもあります。深い深い信心が必要です。子供に信心させることです。
仏法上の根本問題は、そういう子供を産んだ両親の宿命です。その子をじっと見たとき、この子をりっぱにしなければいけない、この子こそみずからを仏にするのかと、拝むようになる心境こそたいせつです。