戸田城聖全集質問会編 180 高利貸しに家を取られる

 

〔質問〕 高利貸しに金を借りて、家を取られてしまいました。もう、期日も迫って、明け渡さなければならないのですけれども、どういう心がけでいたらよいでしょうか。

 

 こういう問題は、ひじょうにふくそうしていると思うのです。いま、ここでかんたんなことを聞いて、かんたんに返事するわけには、私にはいかないのです。高利貸しに金を借りたと、ただそれだけでは、まだおかしいです。借りるときの覚悟がないのです。それで返す気もなくて借りたのですか、いったい。なにゆえそのときに、印鑑証明や登記をしたのですか。いまになってから、どうしたらいいでしょうか。では、お釈迦さんでも困ります。まだいろいろ事情を聞いてみなくては、あなたの心境は私にはわかりません。だが、法律からいって、むこうが押してきた以上には、戦う以外に道はありません。それでただ取られるというわけはないでしょう。居住権、家はその人に取られても、わが身には居住権というものがあるではないですか。それを主張したらどうです。そして、その家がたとえ百万円のものであるならば、居住権を主張して、三十万でも二十万でももらって、別な家に住むか、いまの話だけならば、ただみすみす渡すべき理由はないでしょう。それも三年も二年も利息も払わず、捨てておいて、いよいよむこうが強腰になってきたときに、理屈をいうてもあいすまぬことです。

 高利貸しに金を借りたといっても、借りるときに利息の約束をして借りたはずなのですから、むこうが家を取るつもりでやったのなら、これはまた別です。どこまでも対抗して、戦わねばなりません。

 ですから、いま、あなたのような単純な質問で、私も単純に答えては、後で誤りが起こりますから、よくよくそこは法律に照らして考えておやりになったらよかろうと思います。

 いつ信仰なさったか知りませんけれども。かならず仏天の加護もあることですから、その家がなくなっても、よい家ができないとはかぎりません。今度は信心の問題になります。最初の質問は国法の問題です。後の私の答えは、信心の問題です。ここは、仏天の加護があるということは、日蓮大聖人のお約束なのです。ふつうならただ取られてしまうところを、ただ取られない方法も、そこになにか残っていると思います。人に聞くまでもありません、御本尊様に訴えぬいて、そして、あいている道を求めなさい。