戸田城聖全集質問会編 177 商売不振で経済的に悩む
〔質問〕 長年の喘息で苦しんでいましたが、その喘息はなおりました。ところが商売がうまくいきません。経済的な悩みをどうすればよいでしょうか。
難問中の難問が起こってきました。これは、いつもいっているとおり、商売を一生懸命やらねばだめです。あなたの商売はタイプライター、計算機などをつくっているのですね。あなたの年はいくつです、五十四歳、大事なところです。
商売のことは、これ一つでぜんぶに通ずるから、しっかり聞いてください。すぐには金持ちにはなれないのです。その人の罪業によるのです。この理論はいつもいっているのですが、もうすでに金持ちになるように、みなさんはできているのです。ここにいる人たちは、みな金持ちになるようにできています。だけども金持ちといっても、その人の福運の程度にもよるし、いれものにもよります。それで、一生涯死ぬ前に、もう、ほんとうに幸せで幸せで困るような境涯で死ぬように、この法では決まっているのです。
ところが、水道の水はいつでもきれいなものですが、がりにホースをそこにつけたとします。ホースの中に、馬のクソやドロがつまっていれば、ホースから最初に出てくる水は、きれいな水は出ないでしょう。中のものが、きたないものが出てきてから、このきれいな水が出てくるでしょう。それまでのあいだは、待ってもらわなくてはなりません。
そうすると、いつもいいますが、どのくらい待ったらいいでしょうかと、こう聞きたいでしょう。まず七年です。そんなに待っていられないと、こういうでしょう。それは、この心田と申しまして。心の田と書きますが、心田に、この宝樹、宝の珠がなる樹を植えたのですから、われわれは畑です。南無妙法蓮華経という仏の種を下種したのでしょう。どんなに早い野菜でも、三か月しなければ食えません。サルカニ合戦の話ではあるまいし、芽を出さなければちょんぎるというわけにもいきません。それで心田に植えたところの種が芽を出し、だんだんと太っていって、大木になる、そうすれば願わずしてその人は金ができ、幸せになってくるのです。
では、それまでのあいだはどうなるのです。それまでのあいだは、諸天善神が心田に植わっている種がもったいない、ありがたいから、諸天善神が昼夜に守るのです。毎朝、東の方を向いて「生身妙覚自行の御利益」といって、大梵天王・帝釈・四天王、諸天善神ぜんぶに、日夜守ってくださってありがとう、とお礼をいっているのでしょう。守らないで、礼ばかりいわれるというわけがあるものですか。梵天帝釈が芽をふき出して、大木になるまで守っているのです。ですから、食えないわけはありません。
五十四歳でいらっしゃるとすると、あと六年間貧乏しているとすると六十です。六十から七十まで生きるとすると、十年間どうですか、今月は熱海、来月は湯河原というふうに、十年間も安楽に暮らせたら、あなたはうれしくありませんか。すぐ来年中によくなってしまって、六十で死なねばならない。だから、若いうちにはうんと苦労したほうがいいのです。三年なり、七年なり、十年なり、幸福でたまらない境涯を受けてから死ぬ仏法になっているのです。そうなると早くならないほうがいいことになるわけです。