戸田城聖全集質問会編 172 入社試験を受ける態度
〔質問〕 二人の青年部員が人社試験を受けました。そうとう自信があったのですが、両方とも口頭試問のなかに学会のことがあったので、得意になってべらべらしゃべってしまいました。そのためらしいのですが、落ちてしまいました。今後はそういうことが起こったとき、どう対処したらいいでしょうか。
あんまり、べらべらしゃべらないほうがいいのではありませんか。折伏でもはじめたのではないでしょうか。かんたんに話しておけばいいのです。そんな得意になって、べらべらしゃべるほど知っているわけでもないのですから。だから、かんたんにしゃべっておきなさい、と教えてください。
ちょっと、今のにつけくわえていいますが、就職試験などにいって、折伏させてはいけません。時も所も考えずに折伏をする、これがいちばん困ることなのです。よく、私はいうのです。八百屋をやっている人が、大根買いにきた、にんじん買いにきたという人をつかまえて、折伏するバカがあるのです。むこうは、大根買うためにきたのです。お説法を聞くためにきたのではないのだから、大根だけ安く売ってやれば、それでいいのです。さも自分がお坊さんになったようなつもりで、大根を買いにきた者、魚を買いにきた者に、実際に説法なんかする人がありますか。自分は就職試験にいったのだから、入社させてもらえばそれでいいのです。同じ理屈ではありませんか。あなた方も、このなかにやっている人がいるのではありませんか。
商売するかたわら、折伏している、それではだめです。商売が繁盛しなくなってしまいます。買いにくる者の気持ちを考えないといけません。よくかみわけてください。
「天晴れぬれば地明かなり法華を識る者は世法を得可きか」(御書全集二五四㌻)仏法の極意に達すれば、世法のこともおのずからわかると日蓮大聖人様はおっしゃっています。世法のこともわからないで折伏しさえすればいい。それはいけません。