戸田城聖全集質問会編 92 仏が御本尊を拝む理由

 

〔質問〕 なぜ日蓮大聖人様は、ご自分でお顕しになった御本尊様を、拝みまいらせたのですか。

 

 それには二つの意義があります。一つは、日蓮大聖人様は凡夫のお姿です。凡夫のお姿ですから、人法一箇の久遠元初無作三身如来のご生命として、そのご生命を人とし、南無妙法蓮華経を法としておしたためになったのです。ご自分は凡夫の姿ですから、この凡夫の立場において、久遠元初の無作三身如来の人法のお姿として拝するのはあたりまえです。

 いま一つは、将来、弟子に向かって「われわれ弟子檀那等が、他のものを拝むのではない、大御本尊様だけを拝むのである。仏像等を拝んではあいならん」というので、ご自分のおしたための弘安二年十月十二日の大御本尊、すなわち御本尊のなかでも極説中の極説である大御本尊を拝みたてまつっていたのであります。

 要約すれば、一つには、凡夫のお姿から人法一箇の御本尊を拝まれ、もう一つは、仏法上の儀式により。弟子檀那等にも、範を示すために、拝されたのであります。