戸田城聖全集質問会編 36 方便品・寿量品の意味
〔質問〕 方便品と寿量品と自我偈は、どういう意味のお経ですか。
方便品と寿量品の相違を申し上げますれば、方便品は、迹門を代表したものでありまして、「諸法実相、所謂諸法、如是相、如是性、如是体……」とありますが、あれは御本尊の姿をあらわしたものであります。
それから寿量品は、同じく御本尊をあらわしておりますが、あの「御義口伝書」をお読みくださればわかりますように、あれは南無妙法蓮華経如来寿量品となっています。南無妙法蓮華経如来寿量品というように、南無妙法蓮華経と御義口伝にあるのは、寿量品だけであります。
それで、南無妙法蓮華経如来というのは、如来秘密神通之力とあります。その南無妙法蓮華経の如来の秘密なれば、それは南無妙法蓮華経になってしまうのです。それで、迹門の経文では、方便品を読みます。これには秘妙方便が説かれています。
方便には、うそも方便といいますが、これはうそです。方便というのは法用方便、能通方便、秘妙方便と、仏法では三種しかないのです。それで、法華経の方便は、秘妙方便にはいるのです。
秘妙方便というのは、凡夫も仏も同体であって、しかも、それが凡夫の姿でいるのが方便だということです。十如是はすなわち御本尊の姿をいっているのです。それに、如来秘密神通之力は、南無妙法蓮華経の如来の秘密神通之力なのです。それだから、寿量品を読むのです。