リアルファーのコトをお話すると、
「 あなたは、肉を食べるじゃない。 結局キレイゴトじゃない。 」
・・・と 言われるコトがあります。
「 命をいただきます 」 と心を込めて 大切に食させていただくのと、
生きたまま命をいたぶるように捨てるのとは 大きく違いがあるように思います。
そうは言っても、
フードインクで 動物が食べ物として生産されてるのも知っています。
今日は 理屈ではなく、
いつの時代も 大切にしなくちゃいけない気持ちを 読んでいただきたくて
西日本新聞社 『 いのちをいただく 』 より 転記しました。
心を込めて 「 いただきます 」 「 ごちそうさま 」 を
その絵本の帯に、
一人の名も無い主婦のメッセージが書かれていた。
「 朗読を聴いて、うちのムスメが食事を残さなくなりました 」
絵本に食肉加工センターの「坂本さん」という人が登場する。
実在の人物である。
坂本さんは、食肉加工センターに勤めています。
牛を殺して、お肉にする仕事です。
坂本さんは
この仕事がずっといやでした。
牛を殺す人がいなければ、
牛の肉はだれも食べられません。
だから、
大切な仕事だということは 分かっています。
でも、
殺される牛と目が合うたびに、仕事がいやになるのです。
「 いつかやめよう、いつかやめよう 」
と思いながら 仕事をしていました。
坂本さんの子どもは、小学3年生です。
しのぶ君という男の子です。
ある日、小学校から
授業参観のお知らせがありました。
これまでは、
しのぶ君のお母さんが 行っていたのですが、
その日は用事があって どうしても行けませんでした。
そこで、
坂本さんが授業参観に行くことになりました。
いよいよ、参観日がやってきました。
「しのぶは、ちゃんと手を挙げて発表できるやろうか?」
坂本さんは、
期待と少しの心配を抱きながら 小学校の門をくぐりました。
授業参観は、
社会科の 「 いろんな仕事 」 という授業でした。
先生が子どもたち一人一人に
「 お父さん、お母さんの仕事を知っていますか? 」
「 どんな仕事ですか? 」
と尋ねていました。
しのぶ君の番になりました。
坂本さんはしのぶ君に、
自分の仕事について あまり話したことがありませんでした。
何と答えるのだろうと 不安に思っていると、
しのぶ君は、小さい声で言いました。
「 肉屋です。 普通の肉屋です。 」
坂本さんは
「 そうかぁ 」 とつぶやきました。
坂本さんが家で新聞を読んでいると、
しのぶ君が帰ってきました。
「 お父さんが仕事ばせんと、みんなが肉ば食べれんとやね 」
何で急にそんなことを 言い出すのだろうと
坂本さんが不思議に思って 聞き返すと、
しのぶ君は学校の帰り際に、
担任の先生に呼び止められて こう言われたというのです。
「 坂本、何でお父さんの仕事ば 普通の肉屋て言うたとや? 」
「 ばってん、カッコわるかもん。
一回、見たことがあるばってん、
血のいっぱいついてから カッコわるかもん… 」
「 坂本、
おまえのお父さんが仕事ばせんと、
先生も、坂本も、校長先生も、会社の社長さんも肉ば食べれんとぞ。
すごか仕事ぞ 」
しのぶ君は そこまで一気にしゃべり、
最後に、
「 お父さんの仕事はすごかとやね! 」
と言いました。
その言葉を聞いて、
坂本さんはもう少し仕事を 続けようかなと思いました。
ある日、
一日の仕事を終えた坂本さんが 事務所で休んでいると、
一台のトラックが 食肉加工センターの門をくぐってきました。
荷台には、明日 殺される予定の牛が積まれていました。
坂本さんが
「 明日の牛ばいねぇ… 」
と思って見ていると、
助手席から十歳くらいの女の子が飛び降りてきました。
そして、
そのままトラックの荷台に上がっていきました。
坂本さんは
「 危なかねぇ… 」
と思って見ていましたが、
しばらくたっても 降りてこないので、
心配になって トラックに近づいてみました。
すると、
女の子が牛に話しかけている声が聞こえてきました。
「 みいちゃん、ごめんねぇ。
みいちゃん、ごめんねぇ… 」
「 みいちゃんが肉にならんと
お正月が来んて、じいちゃんの言わすけん、
みいちゃんば売らんと みんなが暮らせんけん。
ごめんねぇ。
みいちゃん、ごめんねぇ…」
そう言いながら、
一生懸命に牛のお腹をさすっていました。
坂本さんは
「 見なきゃよかった 」 と思いました。
トラックの運転席から
女の子のおじいちゃんが降りてきて、坂本さんに頭を下げました。
「 坂本さん、
みいちゃんは この子と一緒に育ちました。
だけん。
ずっとうちに置いとくつもりでした。
ばってん、
みいちゃんば売らんと、
この子にお年玉も、クリスマスプレゼントも買ってやれんとです。
明日は、どうぞ よろしくお願いします 」
坂本さんは、
「 この仕事はやめよう。 もうできん 」
と思いました。
そして 思いついたのが、明日の仕事を休むことでした。
坂本さんは、家に帰り
みいちゃんと女の子のことを しのぶ君に話しました。
「 お父さんは、
みいちゃんを殺すことは できんけん、
明日は仕事を休もうと思っとる… 」
そう言うと、
しのぶ君は 「 ふ~ん… 」 と言って
しばらく黙った後、テレビに目を移しました。
その夜、
いつものように坂本さんは、
しのぶ君と一緒に お風呂に入りました。
しのぶ君は坂本さんの背中を流しながら言いました。
「 お父さん、
やっぱりお父さんがしてやった方がよかよ。
心の無か人がしたら、牛が苦しむけん。
お父さんがしてやんなっせ 」
坂本さんは
黙って聞いていましたが、
それでも決心は 変わりませんでした。
朝、坂本さんは、
しのぶ君が小学校に出かけるのを待っていました。
「 行ってくるけん! 」
元気な声と扉を開ける音がしました。
その直後、
玄関がまた開いて
「 お父さん、今日は行かなんよ!
わかった? 」
としのぶ君が叫んでいます。
坂本さんは思わず、
「 おう、わかった 」 と 答えてしまいました。
その声を聞くとしのぶ君は
「 行ってきまーす! 」
と 走って学校に向かいました。
「 あ~あ、子どもと約束したけん、行かなねぇ 」 とお母さん。
坂本さんは、渋い顔をしながら 仕事へと出かけました。
会社に着いても気が重くて しかたがありませんでした。
少し早く着いたので みいちゃんをそっと見に行きました。
牛舎に入ると、みいちゃんは、
他の牛がするように角を下げて、
坂本さんを威嚇するような ポーズをとりました。
坂本さんは迷いましたが、
そっと手を出すと、
最初は威嚇していたみいちゃんも、
しだいに坂本さんの手を くんくんと嗅ぐようになりました。
坂本さんが、
「 みいちゃん、ごめんよう。
みいちゃんが肉にならんと、みんなが困るけん。
ごめんよう… 」
と言うと、
みいちゃんは、
坂本さんに 首をこすり付けてきました。
それから、坂本さんは 女の子がしていたように
お腹をさすりながら、
「 みいちゃん、じっとしとけよ。
動いたら急所をはずすけん、
そしたら余計苦しかけん、
じっとしとけよ。じっとしとけよ 」
と言い聞かせました。
牛を殺し解体する、その時が来ました。
坂本さんが、
「 じっとしとけよ、
みいちゃんじっとしとけよ 」
と言うと、
みいちゃんは ちょっとも動きませんでした。
その時、
みいちゃんの大きな目から 涙がこぼれ落ちてきました。
坂本さんは、牛が泣くのを初めて見ました。
そして、
坂本さんが ピストルのような道具を頭に当てると、
みいちゃんは崩れるように倒れ、少しも動くことはありませんでした。
普通は、
牛が何かを察して頭を振るので、
急所から少しずれることがよくあり 倒れた後に大暴れするそうです。
次の日、
おじいちゃんが 食肉加工センターにやって来て、
坂本さんに しみじみとこう言いました。
「 坂本さんありがとうございました。
昨日、あの肉は少しもらって帰って、
みんなで食べました。
孫は泣いて食べませんでしたが、
『 みいちゃんのおかげで
みんなが暮らせるとぞ。
食べてやれ。
みいちゃんにありがとうと言うて食べてやらな、
みいちゃんがかわいそうかろ?
食べてやんなっせ。 』
って言うたら、孫は泣きながら、
『 みいちゃんいただきます。
おいしかぁ、おいしかぁ。 』
て言うて食べました。
ありがとうございました 」
坂本さんは、
もう少しこの仕事を 続けようと思いました。
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