ひまわり先生は、クラスの人気者。
とても優しく、穏やかで
誰もが、ひまわり先生のことを好きでした。
ひまわり先生のクラスは、うさぎを飼っていました。
うさぎはどんどん増えました。
うさぎは餌をもりもり食べました。
うさぎが増えて、みんなの楽しみも増えました。
ところが困ったことがひとつ。
うさぎのえさ代です。
優しいひまわり先生は、
自分のおこづかいをえさ代にしていました。
うさぎが増えるたびに
ひまわり先生のおこづかいは少なくなります。
みんなの楽しみがはちきれそうになる頃
ひまわり先生はお金に困り
ご飯さえロクに食べられなくなりました。
「先生、お昼ご飯食べないの?」
「お腹が空いていないんだ」
優しいひまわり先生は、
みんなの笑顔を見ていると
何にも言えなくなりました。
お金が底を尽きたある日、
ひまわり先生は困り果て
うさぎを花壇に埋めました。
嫌がるうさぎを押さえ付け
汗をかきながら埋めました。
うさぎは、きゅーきゅー鳴きました。
次の日、クラスは大騒ぎです。
飼育小屋には、うさぎが一匹もいません。
「泥棒が入ったのかな」
「猫にやられたのかな」
うさぎは全員土の中。
みんながうさぎのことを忘れる頃に、花壇には
きれいな花が咲きました。

自意識の檻

腐った魚は行くあてがなく、
海の方へ歩いていきました。
腐った魚は猫に出会います。


自意識の檻

猫は腐った魚をじっと見たあと、
黙ってうしろからついてきました。
腐った魚は猫といっしょに歩きます。
えんえんと歩きます。

自意識の檻

腐った魚はお腹が空いたので、
カレーを作りました。
腐ったじゃがいもと腐ったニンジンと猫を入れます。
腐った魚は、腐ったカレーをおいしく食べました。

自意識の檻

海にたどりつき
腐った魚は海辺に立つ墓の上に座り
空をえいえんに見つめました。
自意識の檻

あるところに
腐った魚がいました。

自意識の檻

腐った魚が触るものは、なんでも腐ります。
花はしおれ、水は腐り、
鉄は歪み、大気はよどみます。
友達ができても、腐ってしまうので、
腐った魚はひとりでいました。

自意識の檻

腐った魚が歩いた後は、腐った道ができます。
腐った魚が眠る森は、
木々が死に絶え
腐った魚がのどをうるおす湖には、
魚が浮きます。
あるところに
腐った魚がいました。

腐った魚が触るものは、なんでも腐ります。
花はしおれ、水は腐り、
鉄は歪み、大気はよどみます。
友達ができても、腐ってしまうので、
腐った魚はひとりでいました。

腐った魚が歩いた後は、腐った道ができます。
腐った魚が眠る森は、
木々が死に絶え
腐った魚がのどをうるおす湖には、
魚が浮きます。

腐った魚は行くあてがなく、
海の方へ歩いていきました。
腐った魚は猫に出会います。


猫は腐った魚をじっと見たあと、
黙ってうしろからついてきました。
腐った魚は猫といっしょに歩きます。
えんえんと歩きます。

腐った魚はお腹が空いたので、
カレーを作りました。
腐ったじゃがいもと腐ったニンジンと猫を入れます。
腐った魚は、腐ったカレーをおいしく食べました。

海にたどりつき
腐った魚は海辺に立つ墓の上に座り
空をえいえんに見つめました。

あなたは知らない
 わたしがあなたを恐れていること

あなたは知らない
 わたしは誰かを好きなのではなく
誰かを好きなわたしを好きだということ

あなたは知らない
 わたしが何も信じていないこと

あなたは知らない
 わたしの喜び

あなたは知らない
 わたしの悲しみ

あなたは知らない
 あなたの前にいるわたしはわたしでないこと

あなた方は知らない
 わたしの何もかも

わたしもあなたを知らない
けれど、あなたはわたしを知っているかのように話し続ける