フィギュアスケート競技は終わってしまいました
女子ショートのあとのフリーです・・
日本人としては、そりゃ坂本っちゃんに、有終の美として
金メダルを取らせてあげたいと願っていましたが・・
結果は、坂本選手は銀メダル、中井選手は銅メダルでした~
でも、立派でしたよ~~
おめでとうございます~
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今回のフリーの総括を男子とアイスダンスの解説をされていた
町田樹さんがまとめられていて、わかりやすく、秀逸なので
Yahoo記事はすぐに消えて読めなくなるので、残しておきます
同感・共感することが多いですわ~😊
勝敗分けた「一つのミス」と、坂本花織が残した功績
町田樹がフィギュア女子FSを解説
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート女子フリースケーティング(FS)が
現地時間2月19日(日本時間20日)に行われ、日本の坂本花織が合計224.90点で
銀メダルを獲得した。
優勝は自己ベストを更新する226.79点をマークしたアメリカのアリサ・リュウ。
ショートプログラム(SP)首位だった17歳の中井亜美は219.16点で3位、
千葉百音も自己ベストの217.88点で4位と、日本勢が上位に入った。
極めてハイレベルだった女子FS。坂本と中井が表彰台へ 【写真は共同】
SP2位だった坂本は、後半のコンビネーションが単独ジャンプになるミスが出て、
悲願の金メダル獲得はならず。それでも2大会連続の表彰台入りと、
日本女子のエースとして大きな存在感を見せた。
200点超えの選手が13名と、極めてハイレベルだった女子FSをソチ五輪の
男子シングル5位入賞、現在は國學院大學准教授を務め、今大会の団体戦から
男子シングルまでを現地ミラノで解説した町田樹さんに分析してもらった。
真の実力が試されるフリーという「鏡」
女子シングルは、トップ4によるすさまじい戦いが繰り広げられました。SPを終え、
わずかな点差にひしめくメダル候補たちが、最終決戦のFSに臨む。極度の緊張感は
計り知れないものがあります。
まず前提として理解すべきは、FSという種目の本質的な過酷さです。
男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスのすべてのカテゴリーにおいて、
FS(あるいはフリーダンス)は、その選手の「真の実力」が試される場であると
私は考えています。それは、今の自分の真の姿を映し出す「鏡」のようなものと
言えるでしょう。
なぜなら、FSはSPに比べて演技時間が長く、要素も多いため、体力的に極めて
厳しいからです。SPは時間が短いため、体力的な消耗が演技の質を左右することは
ほとんど考えられず、多くの選手がミスなく演技をまとめられます。
しかし、FSはそうはいきません。演技時間が長く、エレメンツも多い中で、
高いパフォーマンスを維持するには、強靭なフィジカルとメンタルに裏付けられた
絶対的な自信が必要不可欠です。
その結果、FSではSPよりもミスなく演技をまとめ、かつスピンやステップで最高
評価であるレベル4をすべて揃える(オールレベル4)ことが格段に難しくなります。
今大会のプロトコルを見ても、SPでは41%の選手がオールレベル4を獲得して
いましたが、FSでそれを達成できた選手の割合は33%まで下がります。
ジャンプにミスがなかった選手に至っては、片手で指折り数えるほどしかいません。
一方で、大会全体のレベルは着実に底上げされています。今大会では13位までの
選手が合計200点を超えるスコアを記録しました。
これは、北京五輪(10位まで)や平昌五輪(6位まで)と比較しても最多であり、
競技レベルが年々高まっていることの証左です。このハイレベルな戦いの頂点に
立ったトップ4の攻防は、まさに息をのむ展開でした。
逆境を乗り越えた「起死回生」の演技
トップ4の激闘を語る前に、5位と6位に入った二人のスケーターに触れて
おきたいと思います。まずはアメリカのアンバー・グレン選手。
彼女が見せたFSの演技は、まさに「起死回生の演技」と呼ぶにふさわしいもの
でした。
SPで最後の3回転ループが2回転になるという致命的なミス(規定違反で0点)を
犯してしまった演技後の彼女の様子は、精神的に打ちのめされているようで
心配していたのですが、そこから見事に立ち直りました。
FSでは完璧なトリプルアクセルを成功させただけでなく、他のミスを最小限に
食い止め、攻め切るマインドとそれを形にする高い技術力を見せつけました。
特筆すべきは、SPとFSの両方でトリプルアクセルを成功させたことです。
これはアメリカのフィギュアスケート界において、五輪史上初の快挙となります。
さらに、彼女は競技場外でもさまざまな困難と向き合いながら、この大舞台に
立っていました。グレン選手は、性的マイノリティの当事者として、その人権尊重を
訴え続けています。スポーツ社会学者の山本敦久氏は、人権を主題とする政治的主張
などを行い、既存の支配関係(例えば、異性愛者優位/LGBTQ劣位の関係など)や
性的マイノリティーの方々に向けられたステレオタイプを組み替えることに
貢献しているスポーツ選手を「ソーシャルなアスリート」と称していますが、
グレン選手もその一人だと言えるでしょう。ただ、そうしたソーシャルな
アスリートは昨今逆風にさらされる傾向にあります。
ミラノ・コルティナ五輪の大会期間中も、グレン選手をはじめ、人権尊重を訴えた
アスリートがSNS上で誹謗中傷の標的にされてしまっていましたし、そもそも現在の
アメリカのトランプ政権はそうした性的マイノリティの方々には厳しい態度を取って
います。その中で「私は黙らない。言うべきことは言う」と、彼女は意思を明確に
しています。
「ソーシャルなアスリート」は欧米において徐々に増えていて、グレン選手は
代表的な存在です。競技場の中と外で直面したこうした厳しい逆風は、演技に影響を
及ぼした部分もあったかもしれませんが、彼女は最後まで戦い抜きました。
その姿勢に対し、私は最大限の賛辞と敬意を表したいと思います。
やや疑問が残ったペトロシアン陣営の戦略
もう一人は6位のアデリア・ペトロシアン選手(AIN)です。
彼女は冒頭で4回転トウループに果敢に挑戦しました。しかし、今季の彼女は
ロシア国内の主要大会のFSで3度このジャンプに挑み、すべて転倒しています。
成功率0%という実績の中で臨んだ大舞台でしたが、やはり本番では高さが足りず、
テイクオフでうまく力が伝わらなかったのか、転倒という結果に終わりました。
それでも、その後の演技をまとめ上げてパーソナルベストを更新し、6位入賞を
果たしたことは、シニアの主要国際大会が2戦目という経験の浅さを考えれば、
彼女の底力を示したと言えるでしょう。
ただ、戦略にはやや疑問が残ります。成功実績のあるトリプルアクセルを封印し、
一度も成功させていない4回転トウループに挑んだ采配は、私にはあまり合理的に
映りませんでした。もしかしたらトリプルアクセルの調子が芳しくなかったのかも
しれませんが、なぜそのような戦略を取ったのか、本人や陣営に聞いてみたい
ところです。
一つのミスも許されない、トップ4の熾烈な争い
そして、物語は最終グループ、トップ4によるメダル争いへと移ります。
ここから始まったのは、前の滑走者の「好演」が次の滑走者に極限のプレッシャーを
与えるという、連鎖的な緊張感に満ちた死闘でした。
戦いの口火を切ったのは、日本の千葉選手でした。彼女が選んだプログラムは
『ロミオとジュリエット』。物語の舞台であるイタリアのヴェローナが、
今大会の閉会式開催地であることから、まさしくこの五輪を見据えて
準備してきた作品と言えます。
直前の四大陸選手権ではジャンプの回転不足に苦しみ、3位という不本意な成績に
終わっていたため、本人も不安で仕方がなかったはずです。しかし、その逆境から
見事に立ち直り、ほぼミスのない演技を披露しました。
イタリアの地でこの作品を成就させたことには、大きな価値があったと思います。
五輪初出場で4位という成績は素晴らしく、彼女は自分のやるべきことを120%
出し切れたのではないでしょうか。
金メダルを獲得したアリサ・リュウの「特殊能力」
千葉選手のこの好演が、次に滑るアリサ・リュウ選手に重圧をかけます。
SP終了時点で4位千葉選手との点差はわずか2.59点。千葉選手のスコアを見て、
リュウ選手は「1つのミスが命取りになる」状況に追い込まれました。
その中で、彼女はほぼ完全な演技を果たしました。
昨年の世界選手権やグランプリファイナルを制した際にも見せた、どんな状況でも
自分のやるべきことを100%遂行できる能力は、もはや「特殊な能力」と呼んでも
過言ではないでしょう。
プロトコル上、3回転フリップに「アテンション」(ルッツやフリップの踏み切り
時に、エッジがインかアウトか不明瞭と判定されること)の判定はつきましたが、
出来栄え点(GOE)ではマイナス評価のないクリーンな演技でした。
この土壇場での強さこそが、彼女を金メダルへと導いた最大の要因です。
称賛されるべき坂本の「攻める姿勢」
リュウ選手の完璧な演技は、次に滑る坂本選手に、さらなるプレッシャーとなって
のしかかります。二人のSPでの点差は1点未満。
坂本選手もまた、一つのミスも許されない状況でした。序盤は素晴らしい滑り出し
でしたが、勝敗を分けたのはプログラム後半の3回転フリップでした。
ここでコンビネーションジャンプにできなかったという一つのミスが、
銀メダルとなった最大の要因です。
しかし、この構成は彼女の「攻めの姿勢」の表れであったことを強調しなければ
なりません。後半のジャンプは基礎点が1.1倍になるため、あえて高難度の
コンビネーションを後半に配置することで高得点を狙ったのです。
先に説明しておくと、坂本選手は序盤に3回転フリップを跳んでいます。
そのため規定上、後半に3回転フリップを入れるなら、ここはコンビネーションに
する必要があります。
つまりこれが成功すれば得点が10%増しになる一方、失敗すれば
単独の3回転フリップを二度跳ぶことになり、
リピート(コンビネーションにすべきジャンプであったにもかかわらず、それができなかったときに下されるマイナス要素)と判定され、
基礎点が30%も削られるという、極めてリスキーな挑戦となるのです。
とはいえ、坂本選手が最大限に攻めた結果のミスであり、
その姿勢は高く評価されるべきだと私は考えます。
多くの人の記憶に残るプログラム
そして坂本選手のフリープログラム『エディット・ピアフ・メドレー』は、
彼女のスケート人生そのものを表現する「人生賛歌」のような作品だと感じました。
第1パートはインストルメンタルではありますが、『バラ色の人生』というシャンソン
の楽曲が用いられています。
「私のために彼がいて、彼のために私がいる。彼を見かけるとすぐに私は胸の高鳴り
を感じる」という、愛をテーマにした楽曲です。
第2パートは、放送で解説されていた鈴木明子さんが現役ラストシーズンに滑って
いた『愛の賛歌』です。坂本選手は鈴木さんの演技に憧れて、この楽曲を選択したと
言われています。
これは「あなたが愛してくれるのなら、この世界がどうなろうが構わない」という
愛への強い意志を歌っているシャンソンです。
この第2パートが坂本選手にとっては、おそらく一番思い入れがある楽曲です。
そしてクライマックスの第3パートでは、『水に流して』という「過去を振り払って
今を謳歌するのだ」という気持ちを歌っている楽曲を表現しています。
こうした楽曲構成に鑑みると、坂本選手にとってこのFSは、これまでのスケーター
としてのキャリアを慈しみながら、今この瞬間の舞台を最大限謳歌する、
という意味が込められているように私には思えるのです。
今季限りで坂本選手は引退する意向を示していますが、その集大成にふさわしい
素晴らしい人生讃歌のプログラムを、この五輪の舞台でも世界随一のスケーティング
スキルを駆使して、見事に歌い上げていただきました。
目標にしていた金メダルにはあと一歩のところで届かず、悔しい思いをされている
かもしれませんが、その演技は多くの人々によって語り継がれ、何度でも鑑賞される
べき素晴らしいものでした。
私はそのような坂本選手の演技に対して、惜しみなくスタンディングオベーションを
贈りたいと思います。
浅田真央さん以来の偉業を成し遂げた中井
そして最終滑走は、SP首位の中井選手でした。
坂本選手もまたハイスコアを記録したことで、中井選手もメダルを狙おうと思えば
一つのミスも許されないという状況で滑ることになりました。
そのような状況の中で、冒頭のトリプルアクセルを見事に成功させます。
GOEも1.71点がつくという完璧なジャンプです。
SPの解説でも述べましたが、今大会に至るまで、中井選手のトリプルアクセルの
成功率は決して高くはありませんでした。それがこの大舞台で、SPとFSともに
完璧なトリプルアクセルを2本揃えたことは、極めて価値のあることです。
これは日本の女子選手として、バンクーバー五輪の浅田真央さん以来となる偉業で
あり、称賛に値します。
しかし、3つ目のジャンプで3回転ルッツ+3回転トウループのコンビネーションの
セカンドジャンプが空中で解けて2回転になるという、誰の目にも明らかなミスを
犯してしまいました。その他にも、後半の二つのジャンプで軽微な回転不足判定を
受けるなど、ジャンプの正確性を若干欠いてしまっています。
こうしたことが影響し、FSのスコアは9位と失速しましたが、
SPで築いた大きなリードのおかげで、銅メダルに踏みとどまることができました。
ちなみにFSの9位という成績だけ見ると相当失速した感がありますが、そのような
ことはありません。実はFSもまたトップ10の選手が大健闘し、接戦を繰り広げた
ので、FSの成績5位の選手から9位の中井選手に至るまでの点差は、
なんとわずか1点のみとなっています。
こうして5名の選手がおよそ1点以内にひしめくという異様な接戦模様となっている
ため、中井選手のFSの成績だけ見ると過度に低く見えてしまうかもしれませんが、
140.45点というスコアは十分トップの選手に肉薄していると言えます。
兎にも角にもシニアデビューのシーズンで初の五輪出場を果たし、その大舞台で
トリプルアクセルという大技をSPとFSの両方で成功させ、なおかつ銅メダルを獲得
したことは偉業であることに間違いありません。彼女にとっても今後のさらなる
飛躍につながる、かけがえのない五輪となったことでしょう。
坂本が切り拓いた女子シングルの新たな地平
最後に、今大会を通じて見えた女子シングルの未来と、坂本花織というスケーター
が残した功績について触れたいと思います。
ロシア選手が国際大会から除外されて以降、女子シングルの4回転ジャンプ競争は
鳴りを潜めました。この状況を「停滞」と揶揄する声も聞かれますが、
私はそうは思いません。女子シングルは、明らかに「別の方向への進化」を
遂げているのです。
その進化を誰よりも体現しているのが、坂本選手です。
プログラムの最初から最後までスピードを一切落とさず、その流れを途切らせること
なくジャンプやステップといった技につなげるスケーティング技術は、
唯一無二の領域に達しています。
スピードが出た状態で技に入ることは、車の運転に例えるなら、
時速30キロでカーブを曲がるのと時速100キロで曲がるくらい、難易度が飛躍的に
上がります。それを高い精度で実行できるのは、彼女が血の滲むような訓練で
作り上げた強靭な身体と技術があるからです。
これまでの解説でも何度か述べていますが、近年のジャッジの傾向は、まさにこの
「スケーティングの推進力」と「それを技に直結させる能力」を最も高く評価して
います。そして、このムーブメントを作り出した原点にいるのが、
ほかでもない坂本選手だと私は考えています。
彼女は、フィギュアスケートにおける新たなワールドスタンダードを創造し、
一つの時代の流れを作りました。
彼女は今後、指導者の道へと進むようですが、坂本花織というスケーターが、
フィギュアスケートの歴史に燦然と輝く存在となったことは間違いありません。
彼女が切り拓いた新たな地平を、次世代のスケーターたちがどのように受け継ぎ、
発展させていくのか。その未来に、私は大きな期待を寄せています。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)
町田樹(まちだ・たつき)さん・・
【(C)Yazuka WADA】
1990年生まれ。スポーツ科学研究者、國學院大學人間開発学部准教授。
2020年3月、博士(スポーツ科学/早稲田大学)を取得。専門はスポーツ文化論、
身体芸術論、スポーツ&アーツマネジメント、知的財産法。
主著に『アーティスティックスポーツ研究序説』(白水社、2020年、令和2年度日本
体育・スポーツ経営学会賞)、『若きアスリートへの手紙』(山と渓谷社、2022年)。
第33回ミズノスポーツライター賞最優秀賞、第16回(池田晶子記念)
わたくし、つまりNobody賞など、著述活動に関して数多くの受賞歴がある。
かつてフィギュアスケート競技者としても活動し、2014年ソチ五輪個人戦と団体戦
ともに5位入賞、同年の世界選手権では銀メダルに輝いた。
現在はその経験を活かし、研究者の傍らで振付家やスポーツ解説者としても
活動している。近著に『スポーツ・クリティーク』(世界思想社、2026年)
アリサリウさん、おめでとう~![]()
ちと、古すぎるから知らない人が多いかな~?
ドラマ「ふてほど」なら採用されるな(笑) 





