出演 : 新垣結衣・大泉洋 他
僕は映画鑑賞をする際に、ストーリー重視の立場を取ります。
演技等の細かいところはよくわかりませんので、ご了解を。
ストーリーとしては、とても良いと思いました。
そして、涙が止まりませんでした。
この映画を観て、思い出したのは、レオナルド・デカプリオ主演の映画「タイタニック」です。
「タイタニック」の1シーンに、沈みゆく船の中で、老夫婦が手をつなぎ、
安らかな表情で、死を迎えることを受け入れる、というシーンがありましたよね。
全体の中では、とても小さなシーンなのですが、
僕は、あのシーンが、実は一番印象に残っているのですね。
ある人と「タイタニック」についてお話しした時に、
同じように、あのシーンが一番印象に残っていると聞いたことがあり、
僕だけではないのだな、と思った体験があります。
このシーンの意味について、ある高名な精神科医の先生に、僕は問うたことがありまして、
その先生は、死というものが持つ、人と人とを集わす、人と人とを和する、そして人と人とのストーリーを埋め合わせる、
ポジティブな側面を表している、と教えてくれました。
僕は、幼少の頃から、死について考えることの多かった子どもでした。
それは、早く死にたいとか、けしてそういうことではなく、
死とはどういうものなのか、よくわからないなあ・・・
自分もいつか死ぬのだなあ・・・
といったような、漠然とした喪失にまつわる不安感を、
いつも心のどこかに抱いていた、いうことです。
「死の持つポジティブな側面」の話を聞いた時に、
僕の死へのイメージは、ずいぶん変化しました。不安感が和らぎました。
さて、「トワイライト ささらさや」を観ようと思ったのは、
「Zip」で連日、新垣結衣と大泉洋が、面白いコント劇で紹介していて、
それらを観て、面白いと思ったからですが、
その段階で、大泉洋の演じる役が死んでしまっている設定であることは、知っていました。
大泉洋が死んだ後に、妻である新垣結衣を心配して、成仏できないでいる、
そして新垣結衣が自立した後に、大泉洋が成仏する、といったシンプルなストーリーを想像して、映画に臨んだ僕は、
そのストーリーがずいぶん異なることを、映画を観て、知ることになります。
そして感動し、涙しました。
映画で描かれていた死のストーリーは、
前述した「タイタニック」の1シーンで描かれていたものと同質なものでした。
死というものは、とても悲しいもの、とても寂しいものではありますが、
一方では、当事者、そしてその周囲の人たちを集わせ、和させ、ストーリーを埋め合わせ、
そして新たなストーリーを産み出すものとして、
この映画では描かれていました。
大泉洋自身のストーリー、それはヒストリーと言ってもいいのでしょうが、
それが変わっていくシーンが、一番見応えがあるように思います。
役名ではなく、役者名で表現しているところは、申し訳なく思いますが、
死というものが、どのように、登場人物たちを集わせ、和させ、ストーリーを埋め合わせ、そして新たなストーリーを産み出していくのか、
そういった観点から観てみると、とても面白い映画だと思います。
僕の勝手なレビューですので、鵜呑みにしないでくださいね。
映画館の周辺は、紅葉真っ只中でした。
では!