群馬県に輝くような笑顔の女性がいました。

「生きていることが楽しくて仕方がない。」そんな表情をされていました。

昨日仕事で立ち寄った高齢者施設でのことです。

仕事がら、ご老人と接する機会が多い私ですが、

その女性は８０歳も半ばになろうかという方です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※写真はイメージです

このおばあちゃんの笑顔が素敵なのは何故なのだろう？

と考えて話を聞いていたら、会話の中にヒントがありました。

「私ね、家にたくさん着物があるの。あれ、全部みなさんにあげてしまってちょうだい。　
　私は何にもいらない。まったく物は欲しくないの。」

物欲がないと言いましょうか、「それよりも、もっと人生で大切なものを見つけたのよ」　という印象です。

　　　「手放せば、入ってくる」

と言いますが、このおばあちゃんは無意識にそれを実践していらっしゃるのでしょう。

　うん？でも待てよ、これは人間が本来持っている普遍的な感情ではないか？

もし仮に、人間の体の耐用年数が１２０年あるとしたら、その半分の６０歳、還暦を過ぎたあたりから、人は少しずつ何かを手放し始めるのではないでしょうか？

そして、人の為に何かを行いたい。今までの恩返しがしたいと思うようになってゆく。

そんな人間の普遍的な生き方・考え方をこのおばあちゃんに教えて頂いたように思います。

ちなみに、還暦（かんれき）とは、干支（十干十二支）が一巡し、起算点となった年の干支に戻ることを意味します。

還暦の「還」という字の意味は「かえる」「もどる」、「暦」という字は「干支」という意味があります。

干支は６０年で一周りし、６０歳で生まれた年の干支に再び戻るため還暦と言われるようになったらしいです。

本卦還り（ほんけがえり）とも言います。

そのおばあちゃんは、時折さみしそうな表情も見せ、

　「隣の部屋に家族が来ているのを見ると、嫉妬心がむらむらと湧き上がるのよ。」

なんて、こちらがびっくりするようなことも申されます。

でもこれがありのままの人間の心なのだとも思います。

・・・なるほどな、年を重ねるって辛い事もあるけど、悪い事ばかりではないんだなと感じました。

葉隠の「武士道とは死ぬこととみつけたり」ではありませんが、

　　「老いることは手放すことと見つけたり」

とおばあちゃんの笑顔に感じ入った出来事でした。

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老いることは手放すことと見つけたり No.６

老いることは手放すことと見つけたり　　　　　　　　　　No.６