仮想空間で煙草吸いだしたら、なんかいっぱい寄ってきた。
ここで吸っても肺がんにならないし、生活指導の先生に捕まらないし、息も臭くならない。
それ以前に、最近、吸える場所が減ってきた、職場も全面禁止になってしまったとか、困っている喫煙者が多いんだ。
「お金はかかるんかいっ」
「なんで仮想空間やのに、煙草は有料なん」
「バーチャルって産業なんだよ、逆に煙草代払うからうまいんじゃん」
俺の仮想空間のコンビニで皆煙草を買う。そして店外の喫煙所でプカプカ吸う。
赤い鉄の箱に吸殻を入れる穴がたくさん開いているが、段々吸殻でいっぱいになる。
着物を着ている狐の女将が灰皿を交換する。
うちの店で飲みなさいよ。喫煙OKよ?
狐のBARも盛況だ。ただし目が醒めたら原っぱで寝てても仕方がない。酒だって何飲まされているのやら。
とにかく煙草がうまい。
昔吸ってた銘柄はないが、ニコチンが少なくてしかも爽やかだ。
「ほら、輪っかやでえ」
「ポン、ポン、ポン、ポン、ポン、機関車の煙やあ」
竹野内豊みたいかっこよく煙草を吸う。映画の中でもちょっとしか吸わずに煙草を消す奴は腹が立つ。残り1cmまで吸わないと。
「喫煙所の雑談で人間は形成されるんや」
「お前勤務時間じゃないの?」
「5分休憩で3本吸う」
「この人、煙草をおかずに白ご飯たべるんやで」
「金がない時、パチンコ屋でシケモク集めてきて吸ってたのう」
「女子で悪いか?」
駐車場空くの待っている車が列をなすほど、この仮想空間喫煙所は大賑わいだ。