「与える(やる)」と同じような意味をもつ語に

「あげる(上げる)」という言葉があります。


この「あげる」は、

「~て(で)あげる」の形で使われる

補助動詞の用法とともに、

時折問題になることがあるようです。



「あげる」は本来、「箱を棚にあげる」

のように低い所から高い方へ

動かすという意味をもち、

そこから「敬う人に差し出す」という、

「やる・与える」の謙譲語としての

意味ももつようになりました。


「差し上げる」よりは、

相手に対する敬意の軽い語ですが、

謙譲語は通常、自分側を低めて

相手側を高めるものですから、

「花に水をあげる」「イヌにエサをあげる」

など植物や動物にまで

用いるのはおかしいのでは、

ということで、このような使い方が

時々問題になるようです。




しかし、近年は「あげる」の

謙譲語としての性質が弱まり、

「やる・与える」の丁寧語・美化語のような

使われ方をしている傾向が感じられます。



これは「やる」という語が、やや品がなく

粗野な感じがするなどの理由からか、

使いにくいと感じる人もいることから

きているようです。


たしかに、いくら動物といえども、

飼っている相手によっては、

「やる」というのは案外

言いにくいことがあるものです。


たとえば、愛犬家の恩師のお宅にお邪魔して、

直接イヌやネコに声をかける場合、

「はい、これやるよ」とは

ちょっと言いにくいものですし、

直接でなくても「イヌにやってください」

も同様に使いにくさが残ります。


自分の子どもに対して

「これあげるからね」というような

言い方をする人が多いのも、

同じように粗暴な感じが敬遠されるのが

その理由かと思われます。


もちろん、どう感じるかには

個人差がありますし、

また使いすぎは耳障りなこともありますので、

時には言い換える工夫も必要でしょう。




また、「あげる」は、

恩恵を受ける人などがあるうえで

使われるものです。

「おこづかいをあげる」

「エサをあげる」なども

適否は別としても、

恩恵を受けるべき対象が

そこにあるという点では

共通しているわけです。


ですから、最近よく耳にする

「(石けんを)手の平でよく泡立ててあげてください」

「ソースをよくなじませてあげてください」

などの表現は、恩恵を受ける対象が

「石けん」や「ソース」

ということになってしまうため、

不自然な表現といえるでしょう。




丁寧語や美化語としての用法が

一般化しつつある

「あげる」「~て(で)あげる」ですが、

恩恵を受ける対象が何なのかを

考えて使いませんと、

恩恵どころか違和感を

与える言葉にもなってしまいます。



使う場面や対象を考えて使い分けたいものです。











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