青ざめてその場に座りこんでしまった樹。 何が何だかわからないという感じの拓司。
「すまないね関係のないことに笹原君を巻き込んでしまって、実は私は元刑事なんだ」
「えっ!」
「結城樹はとある事件の関係者でね、私はあの事件が心に引っ掛かったまま定年を迎えた…でもどうしてもあの事件の犯人が許せなくて密かに捜査を続けていたんだ」
「お、俺はやってない!そ、それに、しょ、証拠なんて何もないだろう!」
焦りの色を隠せない樹。
「残念だなぁ、それがあるんだよ、確かに樹お前がやったのは証拠隠滅だけどな…お前は舘が帯刀笑美里に危害を加えるのを黙って見ていた!お前も同罪なんだよ!お前は人の皮を被った悪魔だよ」
「そ、そんな…はずは…証拠は全て処分したのに…う、嘘だ!」
「お前、帯刀笑美里がどんな女性だったか忘れたのか?笑美里は本当に賢くて慎重な女性だった、紫(ユカリ)に呼び出された時に、自分にもしもの事があったらとこっそりカメラで録画して、自宅のパソコンに画像を送るだけじゃなく、念には念を入れてある人に画像を送っていたんだ」
「!?」
「平沢愛唯ちゃんに送っていたんだよ」
「何で!?っていうか、それだったら何故今迄黙っていたんだ!?おかしいだろ!」
「愛唯ちゃんはお前の後ろにいる渋谷紫ともうひとりの人物への復讐の機会を待っていたんだよ」
「だから、何で…彼女が笑美里の復讐なんて…意味わかんねぇ」
「まあ知らなくても仕方ないか、帯刀笑美里と平沢愛唯ちゃんは実の姉妹なんだよ、まだ産まれて間もない愛唯ちゃんを事情があって帯刀夫婦は手離さなければならなかった」
「う、嘘だ…ろ」
項垂れる樹。
続く