平沢愛唯はとある喫茶店に来ていた。店名「レトロ」の名前の通り昭和を思わせる外観。
愛唯は深呼吸してから扉に手を掛けた。

その頃病院では笹原拓司に先輩の看護師の結城樹(ユウキジュリ)が絡んでいた。
「笹原君!お願い!愛唯ちゃんとの仲をとりもってよ!頼むよお願い!」
困った表情の拓司。
「いや、いくら先輩の頼みでもそれは…申し訳ないです無理です」
「そこを何とか…」
懇願する結城だが拓司はルームハウスのルールだから無理と断る。
「相変わらず結城君は賑かな人ですね。ここは病院ですよ」
いつも間にか茂森のおじさんが傍に来ていた。
「あぁ茂森さんリハビリですか?」
拓司はニッコリして尋ねる。
「いや今日は検査があって終わって帰ろうとしたら結城君の賑かな声が聞こえたものだからね」
「煩くてすみません」
バツが悪そうな結城が茂森さんに謝る。
「まあ良いんですよ、ただひとつだけ、君に愛唯ちゃんは似合わない!それにこの私が全力で愛唯ちゃんに近付くのを阻止するからね、どういう意味かわかるよね」
結城の表情が強ばる。
つづく