あらすじ

小鳥遊明莉(タカナシアカリ)は、大切な息子と夫を失い抜け殻のように生きていた。夫が遺してくれたカフェうつせみとシェアハウスうつせみを夫の親友の四月朔日友哉(ワタヌキユウヤ)と切り盛りしながら、少しずつ元気を取り戻しつつ過ごしていた時に幼い渋谷樹希(シブヤイツキ)ちゃんと望花(モカ)ちゃん姉弟と出逢う。ある日そんな二人が家出をしてきて。


明莉がキッチンで食事の片付けをしていると、望花ちゃんと樹希ちゃんを寝かし付けた望さんがリビングに戻ってきた。

「すみません。ご迷惑をおかけしました。」

望さんが頭を深々と下げている。

「いいえ、全然大丈夫ですよ。」

明莉がニッコリ笑う。

その時、リビングの扉が開くと見知らぬ60代ぐらいの女性が友哉と一緒に入ってきた。

「母さん!」

望さんの母親のようだ。

「初めまして、私は望花と樹希の祖母の凛花と申します。あの、初めてお逢いするのに無礼な事は承知の上でお願いがあるのですが…暫くの間、望花と樹希を此処に住まわせて頂けないでしょうか?」

申し訳なさそうな凛花さんの表情は真剣だった。

「母さん!何を言っているんだ?」

望さんは訳がわからないという感じでした。

「良いですよ。」

明莉はすんなり受け入れている。

「ありがとうございます。望花と樹希の部屋代は私がお支払いしますので、二人の事宜しくお願いいたします。」

凛花さんは何度も何度も頭を下げていた。簡単に了承したのには理由がある明莉は望花ちゃんと樹希ちゃんの様子に違和感を覚えていたというのもあるからだ。

「望、あなたも紫さんとは距離を取るべきだと思うの」

凛花さんは息子の望さんに向き直ると静かに言った。この後、凛花さんの話した内容は衝撃的で耳を疑うものでした。

続く。