私は小鳥遊明梨(たかなしあかり)42歳。

5年前に最愛の一人息子の優斗(ゆうと)を交通事故で亡くし、その2年後に夫の靖文(やすふみ)が病に倒れ、闘病も虚しく亡くなり、私は最愛の家族を失い蛻(ぬけがら)になった。

悲しみのどん底にいた私を救ってくれたのは、夫の友人の四月朔日友哉(わたぬきゆうや)さんでした。夫は生前、私に内緒でシェアハウスとカフェをオープンさせる準備をしていた。

優斗を亡くして蛻のようになっていた私に、生きる希望というか、原動力になる場所を見つけようとしてくれていた。

まあカフェの方は夫の靖文と友さん…いや友哉さんの夢だったんだけどね。

シェアハウスとカフェがオープンしてから忙しい日々が続き、少しずつ悲しみも薄れ始めていました。そんな時、あの事件が起きた。


私が、渋谷樹生(しぶやいつき)ちゃん六歳に出会ったのは半年前かな?友さん…あ、私と友哉さんは幼馴染みだから、小さな頃から友さんと呼んでいるの。友さんがカフェの前をウロウロしていた樹生ちゃんを見つけて、私に伝えてくれて、気になって声も掛けるといた樹生ちゃんは真っ直ぐな瞳をして、こう言った。

「あ、あの、おぶつだんにてをあわせさせてもらってもいい?」

どこか大人顔負けの話し方をしている樹生ちゃんに驚きながら、私は樹生ちゃんを自宅の仏間に案内した。


続く。