七夕の夜、菜々美と佳紀の二人で星空を見上げていた。ただ何を話すという訳でもなく、佳紀の隣に菜々美が居て、それだけで嬉しかった。
「自惚れていたのかも知れない」
佳紀がボソッと言った。
「自分の想いを言葉にしなくても菜々美はずっと傍に居てくれる、二人で過ごす時間が永遠に続くと思っていた…馬鹿だよな」
淋しそうに兄(にいに)が佳紀が笑った。
「菜々美は特別美人というわけでも、特別可愛いという訳でもないけど…いつも楽しそうにケタケタ笑っている彼女が好きだった」