バチパチバチ…小さな花が咲くように線香花火が暗い夜の中で踊っている。
「線香花火が一番好き」
私は線香花火を嬉しそうに見つめていた友也の顔を思い出していた。
「友也も線香花火が好きだったの」
私の言葉に楓が可笑しそうに笑う。
「違うよ、友也が好きだったのは、楽しそうに線香花火を見ている佳帆が好きだったんだ」
「えっ…。」
だって私が線香花火をしている時意地悪ばかりしていたのに…。
「菜々美も線香花火が好きだったな」
佳紀が椅子に腰掛けて星空を見上げてつぷやいた。