走り過ぎて行く車のヘッドライトを見つめながら拓人は考えていた。
「あと一週間ちょっとか...」
クリスマスイヴまでに決断しなきゃいけない事がある、それはある人との約束。
紫月睦人(しづきりくと)との約束。
「俺は遺してきてしまったほのかのこれから先の幸せの事を考えた事あったかな?」
拓人の前を通り過ぎていく人達に拓人の姿は見えない...もうこの世に存在していないからだ。
一週間前の事、ほのかは急に拓人にある女性を追いかけて行ってと、その女性に憑いている人の願いを聞いてあげて欲しいと言った。
その人は紫月睦人という人でやっぱり拓人と同じ幽霊。
遺してきてしまった妻のまいに幸せになって欲しいと願う彼はまいを幸せにしてくれるであろう3人の男性を引き寄せてはみたものの...睦人はどうしても最終的に決断をする事が出来ず拓人に託したのだ。
「コイツは紫月さんには申し訳ないと思うけど除外させてもらいます!」
内倉剛士25歳。いかにも真面目で誠実そうな彼は拓人とほのかの同期。
長身で眼鏡をしているがなかなかのイケメン。紫月さんが選んだ人の中で一番彼がまいさんを幸せに出来る人だと感じたが、睦人はほのかの傍に剛士は居てあげて欲しいと思っている。
そうもう拓人にはほのかを幸せにしてあげる事が出来ないから。