PALM CHOPIN and TEA -113ページ目

PALM CHOPIN and TEA

病めるときも健やかなるときも、うさぎと共に。

【パーム】
2006/10/8~2018/12/27
【ティー】
2014/4/4〜2023/5/9
【ショパン】
2018/12/2~

飼い主はボディケアセラピスト
https://infield-salon.site/

【ネタバレあり 核心に触れるのでこれから鑑賞に行く方は本文を読まない方が良いです】
 
 

 
 
2019年2月20日に『大杉漣記念館』がオープンした。
 
ドラマ『バイプレイヤーズ』の中では『入館料800円』の設定だったけれど、
昨日オープンした『大杉漣記念館』はいつでも行けるし、入場料は無料。
 
オープンと同時に入り浸ってしまった。
 
1年前の2018年2月20日は、漣さんが最後の現場に立っていた日。
まだ仕事を残したまま倒れ、
翌日2月21日深夜3:53に大杉漣さんはそのまま逝ってしまった。
 
 
深夜まで記念館の中をウロウロして、
「漣さん、志半ばだろうな。
『バイプレイヤーズ』まだまだ撮りたかっただろうな」
なんて考えていたら、なんだか虚無感で眠れなくなって気付いたら朝6時。
 
 
     *     *     *
 
 
ほとんど寝ていない状況の中で、ぼんやり見た香取慎吾のTwitter。
 
 
あらあら。
どうやら『半世界』を観に行ってくれと言っている。
 
先日のNAKAMA to MEETINGで沼にハマった私は
「行けと言われれば、行きましょう」と、その場で即オンラインチケット決済。
 
平日昼間ということもあって、席も選び放題。
あぁ、本当に空席が多い。
 
主演の稲垣吾郎さんがテレビに出て番宣できないから
キツイよなぁ……。
 
『翔んで埼玉』ですら、あれだけ番宣しているというのに。
 
ヤスケン(安田顕)も、映画の番宣で最近しょっちゅう見る。
 
それなのに、稲垣さんはひとつも出られないんだ。
昔なら、ありとあらゆる番組に出ていただろうに。
 
だから、この映画も公開済なのに認知度低いんだろうな。
 
そもそも、面白いのだろうか?
面白かったら、もっと人来るよね……。
 
ほぼ寝ていない上に、100%眠くなる花粉症の薬を飲んだから
面白くなかったら、寝てしまいそうだ。
 
 
     *     *     *
 
 
- あらすじ -----------------------------------
 
生まれ育った地元の山中の炭焼き窯で備長炭を作り、
なんとなく父から受け継いだ仕事をやり過ごすだけの日々を送る炭火焼職人の紘(こう-稲垣吾郎)。
 
中学生時代の同級生・瑛介(長谷川博己)は仕事を辞め離婚をし地元に戻ってくる。
突然の帰郷に瑛介は多くを語らないが、何か訳ありの事情を抱えている。
 
紘には家庭もあり、反抗期真っ只中の息子・明(杉田雷麟)もいるが、
先行き不安定な仕事の事で頭がいっぱいで家の事はすべて妻の初乃(池脇千鶴)に任せていた。
紘はそんな家族に対する無関心な姿をもう一人の同級生・光彦(渋川清彦)に指摘されてしまう。
 
さらに紘と光彦は次第に瑛介が地元を離れてから過ごした過酷な経験を知り、
人生の半ばを迎えた男3人にとって旧友とのこの再会が、
残りの人生をどう生きるか見つめなおすきっかけとなる。
 
 
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ストーリーの“地味な雰囲気”に若干不安を抱えつつも
余計な前情報を入れないため、レビューサイトや口コミなどを一切読まずに映画館へ。
 
スクリーンど真ん中の後列という良席なのに、前後左右が空席というガラガラっぷり。
平日昼間はこんなものなのかな。
なんせクソ無職野郎なので、平日でも映画に行ける
 
 
結論から言うと、そんな自分のコンディションだったにも関わらず
一睡もしなかった。できなかった。
120分ノンストップで引き込まれた。
 
もうすぐ40歳になる39歳の男性3人。
人生80年として、折返し地点に来た彼らが自分と重なる。
 
 
あらすじの通り、炭焼き職人・紘の日常が淡々と描かれる。
仕事のこと、家庭のこと、男性の友情が淡々と。
 
とある男性の、ごく普通の日常を観ているだけなのに
1秒たりとも目を閉じる隙きがなかった。
 
『炭焼き職人の仕事を見て、プロットを思いついたのかな』と思うくらい
職人の仕事が丁寧に描かれていた。
炭焼きの仕事って、あんなにも過酷なんだ。
手間の割に、ずいぶん安く買えるけどね。

 

 
炭の音や匂いには敏感な“THE職人”で、モノ造りへの姿勢は立派だけれど
営業が少し下手だったり、反抗期の(かつ級友から激しいいじめを受けている)息子を扱いかねたりと
対人関係には不器用な絋。
 
妻からの相談も軽く聞き流し、
妻から詰められたことを幼馴染に愚痴り、アドバイスにも耳を貸さない。
 
 
ある日突然、赴任先から地元へ帰ってきた幼馴染の瑛介は
自衛隊の仕事を辞めており、離婚もしていた。
 
誰とも会おうとしない瑛介に、幼馴染の絋と光彦は
親身になって世話を焼く。
 
「まずは外に出ろ」と、紘は瑛介に自分の炭焼きの仕事を手伝わせる。
思う以上に肉体労働な炭焼きの仕事を続けるなかで、
瑛介は段々と心を開いていき日常生活を取り戻す。
 
 
そして、徐々に明かされる瑛介の過去。
 
海外赴任先で大切な部下を亡くした瑛介は、
コンバットストレス(戦闘ストレス反応)で
スイッチが入ると攻撃的人格に変貌するようになっていた。
 
絋の息子のいじめの現場や、ならず者の客に絡まれる光彦の前に
ヒーローの様に現れたかと思えば、突然スイッチが入り抑えが効かなくなるマッド萬平瑛介。
 
元自衛官なので、戦闘能力が高すぎて
攻撃的になると下手すれば相手が死にかねない。
 
そんな状況を幼馴染たちの目の前で見せてしまい
瑛介は地元から黙って去る。
 
なんとか瑛介を探し出した絋。
だけど瑛介はまた心を閉ざし「こっち(自衛隊)の世界のことなんて分からないだろ」と突き放す。
「こっち(炭焼き職人)だって世界なんだよ」
 
 
瑛介の悲しい過去に触れた絋は、徐々に家族と向き合うようになる。
瑛介から特訓を受けた絋の息子も、いじめっこ達へやり返す強さを持つようになる。
 
ようやく絋の家族がまとまろうとしていたとき
突然、絋が死ぬ。
 
心筋梗塞だろうか。
 
大事なことに気付いたときに、伝えたい人はもういない。
あの親子はこれから上手くいくハズだったのに……。
仕事だって、夫の窮地を察した奥さんがうまくまとめてくれたのに。
 
『これから』というときに、突然死んでしまった紘と大杉漣さんが重なる。
 
激務は人間の身体を蝕む。
 
絋も漣さんも無理して働き過ぎたんだよ。
 
 
絋が亡くなったあと、
度々話の中で出てきた『3人で埋めたタイムカプセル』を瑛介と光彦で掘り起こしに行く。
 
一度掘り起こしたタイムカプセルを再び埋めた2人。
 
「まだまだこれからも続くんだから」と。
 
 
『そっちの世界もこっちの世界もまだまだ続く』
 
自衛官にも炭焼き職人にも中古車販売員にも、
生きていても、死んでいても、それぞれの世界がある。
 
 
     *     *     *
 
 
深夜まで動画や写真を見続けたせいで、紘と漣さんがオーバーラップしたのもあって
めちゃめちゃ泣いてしまった。
特に納棺のときの池脇千鶴の演技に思いっきり泣かされた。
なんてものを観せてくれるんだ。
 
誰かが死ぬと、残された人間はどうしても
『ああしていれば、こうしておけば』ってタラレバ後悔してしまうね。
 
私もパームさんが逝ってしまったときは、後悔しか出てこなかった。
「最期まで一緒にいられて良かった」とか
「ずっと付き添って介護できて良かった」とか
そんな自己満足は全然なくて、“悔い”しか残らなかった。
 
観た後に『スッキリ爽快!』とか『サイコー!何度でも観たい!』というジャンルではなく
どちらかと言うと、ずしりと重く心に残るようなストーリーだけれど
とても良い映画だった。
 
 
阪本順治監督自らが脚本執筆。
なんと、当て書きなんだって!
 
吾郎さんもこういう役を当てられるようになったのね。
とてもとても素晴らしい演技だった。
歳と重ねるごとに旨味が増す役者さん。
大杉漣さんや、ヤスケンみたい。
毎回主役張れとは言わないから、バイプレイヤーでも良いからたくさん作品に出演して欲しい。
 
ハセヒロも圧倒的にカッコ良かった。
影のある表情も、部下の話を面白可笑しく話すときも良いけれど
猟奇的なマッド萬平瑛介のときが最高にカッコ良かった。
 
息子の明は最後、ボクサーを目指すようになる。
「なぜそこでボクシング?俺も自衛隊に入りたいとか、レスリングとか柔道じゃなくてボクシング?」と不思議だったけど
役者本人の特技がボクシングらしい。
当て書きだからそうなるよね。
明は内藤大助みたいなボクサーになれるといいな。
 
 
 
私も今年の誕生日で40歳。
もしも80歳まで生きるとしたら(そんなに長生きしたくないけれど)、人生の折返し地点。
 
私にも絋のように、小学生の頃からつるんでいる幼馴染が2人いる。
私のポジションは光彦だな。
性格は絋に近いけれど。
 
誰も絋のように、突然死しませんように。
 
みんな揃って健康でいますように。
 
そういえば、絋の遺影が『色気ダダ漏れの稲垣吾郎』だったのが、少しだけ笑えた。
アイドルスマイル過ぎるよ 笑い泣き
 
映画のクレジットには『新しい地図+NAKAMA』も入っていた。
至れり尽くせり。
 
 
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