震災少女○○○と言う長編小説を書いています。2024年度中に仕上がれば良いなと思っています。この小説は私が体験した事を小説にしています。小説の前半は震災の悲劇。そしてそこからのサバイバルがテーマです。しかし後半の設定は震災の世界ですが、その中での人間ドラマは、まるでお笑いの世界のようになるのです。こんな小説は有りなのかと思っています。しかし現実の出来事だから、とりあえず書いて見ます。

 今回の発表分は、始まりの一部分となります。

 

      題名 震災少女○○○         新宿モナコ

 

「ゴオーーーー」

それは突然やって来た。いつものように、午前4時頃に寝た俺は。深い眠りの状態で、その音を聞いた。意識は目覚めた。その音は西から近付いて来た。生まれて初めて聞く音だった。それなのに全てを悟って。心と体は萎えていた。テレビなどのマスコミ。政府や、地震学者などからも、可能性としては、一切聞いたことが無い事。

「何で神戸に、何で関西に」

心はそう言っていた。来た。

「グラグラグラグラ グラグラグラグラ」

凄まじい揺れが襲ってきた。それは小型ボートに乗って、大嵐の海へ放り出されたような揺れだった。上下、前後、左右とあらゆる方向へと、体験した事の無い。凄まじい揺れが襲って来た。

「あかん、あかん、あかん、あかん」

これは家が崩れると直感した。その刹那。

「ドーーン」

と寝ていた俺の上に、凄まじく重い衝撃が圧し掛かった。これは、屋根が崩れ落ちたと思った。生まれて初めて、死を意識した。これが俺の死だと思った。数分で揺れは治まった。うつ伏せに寝ていた俺は、寝床から抜け出そうとした。掛け布団を取ろうとしたり。体を捻じろうとして見たが、全て無理だった。凄まじく重い物の下敷きになっていて、身動きが取れないのだ。どうにか動かせた手を、寝床から出して、何が自分の上に有るのか、それを確かめようと思った。人の助けはすぐには来ない。自分でこの苦境から抜け出さないと。まずは布団から手を出して、体を押さえている物を確認することだ。屋根などの瓦礫なら、このままでは抜け出せない。手だけでは、瓦礫を取り除くのは無理だからだ。その時は、このまま救助を待とうと思った。救助が来るのに時間が掛かる。このままで居ると酸欠になる。そうならないように、畳のイ草を指爪で引きちぎり。下に有る板の隙間までイ草をほどいてそこから空気を吸おうと思った。いつも指爪を切る時は親指と人差し指は少しだけ指爪を残して切っていたのだ。何とか布団から出せた右手で上にかぶさった物を確認した。それは本だった。そうか本好きな俺は部屋の壁の周りに、スチールなどの事務機器や本棚をめぐらして、天井近くまで本を並べていたのだ。助かった。土の手触りは無いので屋根は落ちていない。それなら自力でここから抜け出せる。そう思って渾身の力を込めて伸し掛かっている本を、背中で持ち上げようとした。

「ウーーーンウーーーンウーーーンハァハァハァハァ」

だめだ何度やっても1mmたりとも動いてくれない。原因はスチールの事務用書棚に入った。大量に購入していた。車の写真集などの厚紙の本かと思った。これでは自力で抜け出せない。

その時。外から人の声が聞こえてきた。

「いやー大変やったな。こんな地震初めてや」

「そやなー、わしらこれからどうなるんやろ」

外に男性が二人。会話しながら歩いてる。ここは2階だけど、あんなに二人の会話が良く聞こえているので、こちらから呼びかけたら助けてもらえる。そう思って、大声で助けを求めた。

「助けて下さーい」

大声で懇願した。

「御家族は無事やったの……」

「全員なんとか……」

俺の声が聞こえないのか?

「助けて下さーい」

再度呼び掛けた。

「よかっ………」

「はい………」

遠ざかって行く。

「助けて下さーい」

ああ、行ってしまう。

「…………」

「…………」

だめだ。通り過ぎて行った。どうも聞こえてないらしい。外の人の声は空間に良く響いて聞こえるけれど、こちらは口の周りが閉ざされているので、自分の声は伝わらないようだ。仕方がない助けを待とう。イ草をほどけば酸素も吸える。そう思って手を伸ばした。はっとした。だめだ一刻の猶予もないんだ。ニュースなどで見た光景が蘇った。大地震の後には必ず大火が起こる。原因は漏電や、今なら1月の寒さをしのぐための暖房機器や石油ストーブ等で、火災が起こるのだ。今火事が起こって、短時間で絶命するなら、苦しみは少ないのかもしれない。しかし漏電等で、チョロチョロと足の先から焼けていくなら、苦しみは耐え難いものになるだろう。いやだいやだ。すぐにここから抜け出したい。抜け出し方を変えよう。

 

 今回はここまでです。