当時、彼とその事務員さん(Aさん)は入社して2年目だった。
彼は大卒、Aさんは高卒なので、Aさんのほうが4歳下だったけれど、同期入社ということで、お互いに話もしやすかった。
当時、Aさんはまだ19歳。
仕事も真面目で愛嬌があり、みんなに好かれていたということ。
『Aさんなら、他にいい男はすぐに見つかる。』
彼は、そう自分に言い聞かせた。
彼はそれから、仕事以外ではAさんには近づかないようにした。
彼とAさんは、さすがに少しぎくしゃくしていたけれど、彼はそれがお互いに最善の方法だと思っていた。
この失敗も、いつか時間が解決してくれるだろう・・・そう彼は思っていた。
そもそも彼は、本社の東京で就職したが、一年後には地元の営業所に戻る予定だった。
そうなったら、Aさんとは会うこともなくなるだろう・・・・・・・・。
それから何か月か経ったある日、彼は突然Aさんに呼び止められた。
『ちょっと、お話があるんです・・・・・・・・・。』
彼はとても嫌な予感がした。
待ち合わせの喫茶店で彼とAさんは向かい合った。
Aさんは無言でずっとうつむいていた。
気まずい空気が流れていく。
何分経っただろう・・・・・・・・・。
『ねぇ。どうしたの?
話って何?』
彼がそう言ったとたん、Aさんはテーブルに突っ伏してわっと泣きながら言った。
『実は私、あなたの子どもを妊娠しているんです!!!!!!!』