『リスニンドープ』
誰しもかどうかはわからないが人は皆ファイトソングを持っている。
落ち込んでる時や気合いを入れたい時に聴くアレである。
曲調であったり歌詞の内容だったりと上がりどころは人それぞれだが、聴けば気分が高揚したり癒されたり、激昂したりと効果も様々だ。
そしてそれは大好きな曲や普段聴いているものとは違っていても効果を発揮することがある。
ファイトソングとは意味合いが少しずれてしまうが、音楽のもたらす不思議を記していってみよう。
若かりし頃、私は自堕落生活と再生を繰り返していた時期がある。
自堕落生活もしばらく続くと
「このままではいけない」
天啓が降りてくる。
まあ、ただ単に飽きただけなのだが。
そんな時、怠け切った精神を奮い立たせる為にレンタルビデオ屋へ行っては映画の「ロッキー」を借りてきていた。
落ちぶれたボクサーのロッキーがチャンスを掴み、それに向けてトレーニングをする姿を見てると「よし!おれもがんばろう!」とテンションが上がる。
そしてエクササイズを開始するという一連の儀式をしばしば行っていた。
そのせいか今でもロッキーのテーマや挿入歌を聴くとふつふつと身体の細胞が沸き立つような感覚がやって来る。
ジョギング中に聴けばいつもよりも速くなり、ラストスパートのダッシュは欠かせない。
筋トレをすればロッキーよろしく口を歪ませながらいきり立つ。
諦めのラインの一歩向こうに抜けることができる。
漫画「北斗の拳」によれば通常人間は自分が持っている力の30%しか出せない。
しかし、北斗神拳を用いればその力を100%まで引き出せるという話はあまりにも有名だ。
100%までには届かずとも、ロッキーを用いれば30%の限界を超えることができるのだ。
音楽を聴くことによるドーピング。
リスニングドーピング。
リスニンドープだ!
以前、中学時代サッカー部だった友人のMがこんなことを話していた。
練習中に高校サッカー選手権大会のテーマソングを流して欲しいと放送委員に頼んだことがあったという。
例の「ふーりむくなよ~♪」のやつだ。
日も傾きだし、部員の体力とやる気が底に着きかけていた時、それは校庭に鳴り響いた。
その瞬間、それまでモタついていた部員たちの動きはキレキレになり声を出し始めたと言う。
リスニンドープの典型だ。
普段は顧問の言うことも聞かない悪ぶった少年たちがあんなダサい曲を聴いただけで声を張り上げ走り回り、見違えるほどのポテンシャルを発揮したのだ。
私には「ロッキー」彼らには「ふーりーむくなよ~♪」
これもまた音楽の持つ力の一つ。
あなたも一度試してみてはいかがだろうか。
ただ、賢明な読者ならすでにお気付きだろうが、科学的根拠や裏付けはまったくないのであしからず。