東狂アルゴリズム 楽器隊 ブログ -107ページ目

東狂アルゴリズム 楽器隊 ブログ

東狂アルゴリズム佐々木以外の4人が書くブログ!


『第六の男』



いよいよリリースが迫り、今か今かと我が家の片隅で口の開いたダンボールから飛び出して来そうなNEWアルバム達。

まあ、すでに自分達で数枚抜き出して関係者各位に配付したわけだが。


この恍惚に導く一枚も彼なしではこの世に存在しなかっただろう。





これはそんな『彼』とバンドのちょっとした話。






さかのぼること10数年、その当時「月影」「陽」として活動していたこのバンドは地元滋賀県の今は無きライブハウスハックルベリーで頻繁にライブをこなしていた。


そしてそのライブハウスでPA(音響)を務めていたのが『彼』こと柴田くんだった。



当時は活動しているバンドの数も多く、平日もスケジュールは埋まり、多種多様のバンドが奏でるサウンドに対応しながら多忙な日々を送っていた柴田くん。

そんな数あるバンドの中から彼がウチのことを好きになってくれた。

それが始まりだった。(おれが知るうえでね)




バンドの持ち味を活かして最大限のパフォーマンスを見せつける。


ライブ。


ライブハウスの巨大なスピーカーから出てくる音を操るのがPAの仕事。



そのPAがバンドを理解しているのとしていないのでは観ている人達が感じる内容は雲泥の差と言ってもいいほど異なる。


例えば、歌を聴かせたいのに聞こえなかったり、ギターを聴かせたいところなのに何かが邪魔だったり。
つまりバンドは最終的にはPAに託すというのが常なのだ。


時には飛び入りでライブをやったりと若気の至り、無知で生意気だったであろう我々だが、柴田くんはバンドを輝かせるためにそういった仕事をそつなくこなしてくれていた。


ただ、彼が他のPAと違うのはバンドの理解うんぬんから逸脱しているところにある。


彼はライブ中にバンドが演っている曲の中にあるシンガロングの部分を普段はリハーサル中にステージとのやりとりの為に使うマイクを握りしめて、バンドと共に歌っていたのだ。

PAブースの前にいた女子が異変に気付き、振り返って ギョッとするのもかえりみず大声で歌い続けたエピソードを持つ人は世にPAは数在れど彼のみだと思う。







そして時は流れてバンドはNEWアルバムのレコーディングへと鼻息を荒げ出していた時である。





ある日、大将の佐佐木が「アルバムのレコーディングは柴ちゃんしかない!柴ちゃんやー!!!」と絶叫した。




レコーディングのエンジニアを柴田くんにやってもらおうと言う。

なるほど。

以前にも柴田くんにはレコーディングの一部をやってもらったことがあった。
実際、柴田くんもPAとは別にエンジニアの仕事をいくつもこなしている。



今回のアルバムはバンドにとってターニングポイントになる一枚だ。




すでにPAの仕事は時折こなしながらも音楽とは別の会社に勤めている柴田くんになかば無理矢理オファーをかける。

スケジュールをかいくぐればなんとかいけると彼は受けてくれた。



居酒屋で入念な打ち合わせを行い (おれは酒を飲んでニヤニヤしてただけ) レコーディングがスタートした!




先に書いたことと同様、レコーディングもエンジニアがバンドを理解している、快く思っているということがその出来に深く関わってくる。

佐佐木曰く録ったものの良し悪しをその場で聞けるのが何より良かったと言う。


同じ畑の人間いえども人は人。
その日に出会ったばかりの人に
「これどう思います?」
と聞かれても
「うーん、いいんじゃないすか?」
とよっぽどで無い限りそう答えざるを得ない。

どちらも真剣、といっても向こう方も仕事。時間内に上手く着地させて形にしなければならない。

己の趣味嗜好を出すのははばかられる。




柴田くんはバンドを解ったうえで、モタつきながら試行錯誤する我々に辛抱強く、時には主観に、時には客観的な意見を述べてくれた。




今回はレコーディング、ミックス、マスタリングの全てを柴田くんに請け負ってもらい、その全てにかなりの時間を用いたが集中力を切らさず最後までやりきってくれた。

ミックス時は深夜に及ぶこと少なからずあった。
ホントにもう嫌になったんじゃないかと思う。




そして、先に行ったゲストコーラスを終えメンバーのみの録音時の一幕。




柴田くんも参加した。




機械操作と録音は別室で行っている。
柴田くんは操作を済ますと足早にレコーディングルームへと入り込み、ヘッドホンをかぶり、メンバーと同じマイクで「辿り着けなかった場所」のコーラスを歌った。





その光景に胸を熱くしたオレはコーラスをハミングしながらケータイを取り出した。

{B4AB4156-5B23-458C-9755-347542BE08FD:01}


右に写っているのが柴田くんだ。

彼のバンドに対する思い入れが伝わってくる一枚である。





前に柴田くんがこんなことを言っていた。

「みんながどう思ってるかわからんけど、歌ってるときはおれもメンバーやと思ってるし」



柴田くん。 


それ最高やん!