現 在 地 不 明
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土曜日になると時々、学校に行きたくなります。曇っていたりすると特に。
昔は土曜に三時間だけの授業があって、それがすごく楽しかった。
学活と道徳と、五教科のうちのひとつだけを受けて帰ってくるだけの日。給食がなくて、学校があるのに家で昼食をとるという不思議な感覚が好きで。
曇りや雨の日の薄暗い校内も好きだった。授業中につける教室の明かりと外の薄暗さが妙に相俟って、楽しかった覚えがあります。


そんな日は、いつも二時間目終わりの休憩時間に友人と図書室に行くのが好きだった。

雨の日の図書室はそこだけ特別な世界みたいで、いるだけで楽しかったんです。
帰り道、明るく浮き上がって、なのに存在感は強くなく風景に溶け込んでいた電話ボックスや、普段より人通りが少ない道、昼間なのに電気をつけている家、遠ざかった学校の職員室にだけ点いている明かりの不気味さ、時々動く人影。


そういうものを見るたびに、足元から這い上がるくすぐったい様なぞくぞくするような、胸の辺りが落ち着かないような感覚があって、自然と机に向かってしまう。
そんな日はどうしようもなく、いてもたってもいられない気持ちになる。


家に帰って昼食をとり終えると、部屋にこもって電気もつけずにレースのカーテン越しに見る外も、時々聞こえる水溜りをはじく車の無遠慮な音も好きだった。
その中で借りてきた小説を読んだり、友達からもらった手紙の返事を書いたりするのも。
時々、今日は寒いからと母が持ってきてくれるココアや紅茶の特別感とか、学校のあった日なのにこんな時間に友達と会っているという謎の罪悪感とか。全てが。
今日は曇り。融けた雪が屋根から落ちる音は少し雨に似て、自然と頬が緩みます。

北海道の春は近いです。