父の体は四時には会館に移されると言われた。
昼前にお葬式の方が来て、父の旅支度を進める。
湯かんをしてもらった。
生きている間に感じた苦しみ、痛みを流してくれるらしい。
最期に父にできる事は何でもしてあげたかった。
父はその後、棺に入れられた。
ちょっと大きめにしてよかった。父は180センチもあったから、ギリギリだった。
棺にいれていいものを聞いて、スルメ、クッキー、濡れ煎餅、お菓子大好きな父の為に足元をがわからなくなるくらいにお菓子を入れた。
後、タバコ
まるで、子供みたいと笑われるくらい、わたしは大量にお菓子を詰めた。
皆が帰って、棺にはドライアイス入っているから、開けないでくださいと言われた。
もう父に触れないのかと思うと辛くて、棺に今度はへばりついた。
いい年をしてと言われたかもしれない。
その時はどうでめよかった。
四時になった。
父の体が会館に移される。
偶然かもしれない。晴れていたのに、父が家から出る瞬間。
雨が降った。
泣いているんだね
誰かがそう言った。
父を思うと辛かった。
そこからお通夜まではあまり記憶がない。山ほど走り回ったような気がする。
お通夜には沢山の人が来てくれた。そこも記憶は曖昧だった。式を父の娘として恥じないよう必死だった。
ただ皆が帰って、会館に残った後からはまた記憶が繋がった。
一晩中。
父に一人で話しかけていたから。
見えたらいいのに。幽霊でもいいから。もしかしたら出てくれるかもと期待して。
病気にでもなったかのようだった。
花が枯れないようにガンガンにきいた冷房の中、一人棺に向かって話しかけていた私はきっと不気味だっただろう。
誰にも見られなくてよかった。
