目は乾燥しないのか。
眉も動かない。
ただひたすらにいつも口角をあげている。
村を一つ潰した時も。
向きが逆でフローリングにコロコロの紙が張り付いてしまった時も。
不憫な男の子の復讐に手を貸し、
腕が吹き飛ばされた時も。
こいつは常に口角をあげてこう言う。
「木曜か、、わりー、キングダムだけ読んで来ていい?」
自分なりに苦悩し、決断し、生きてきたつもりだ。
しかし、
こいつといると今までのおれのしょーもないながらに意味はあると思いたいこの人生を否定された気分になる。
不思議な感覚だ。
そしてとても羨ましい。
こいつは、
ただ自分が練習してきたボイパーを披露したいがために、
歴史ある年に一度の合唱祭をアカペラ大会に変えた。
結果、いじめに苦しんだ生徒が一人救われた。
元気を取り戻したその子は学校のドッジボール大会でヒーローになった。
その報告を聞いた、末期の癌を患い寝たきりであるその子の母親は、奇跡的な回復を見せた。
二度と歩けないと言われていたその母親は、亡くなる一週間前に、その子のフェイスブックにタグ付けされていた。
石垣島来ました!
というコメント付きの写真の中で、
その子の母親は、筋肉の削ぎ落ちた色白いその顔に満面の笑顔を浮かべていた。
何が正しいかなんて分からない。
でも僕は、
こいつに惹かれてしようがない。
あいつがいなくなり10年がたつ。
僕の目の前には500人の聴衆。
さて、
一国家のトップとして、
何を語ろうか。
