kemuさんの人生リセットボタンにそった文を書いてみたかったのだよ。
瀬戸くんメインの小説少なすぎてしぬ。
瀬戸くんin桐皇学園。
今瀬。
瀬戸健太郎。その少年は普通の高校生だった。
運動能力は普通より上だったが、学力、他人からの信頼において、特に不満もない平凡な少年。
違うことを上げるなら、少年は同性愛者で、部の一つ年上の先輩に想いを寄せていることくらい。
この人生に、なんの不満もなかった。
そんな人生を一変させたあの時までは
***
8月7日
この日はいたって普通の平凡な一日で、朝起きて、学校へ行って、勉強をして、部活へ行った。
桐皇学園バスケットボール部。
強豪チームで、青峰大輝をエースとしたチームの一員として一軍にいた。体育館が、世界が、
眩しく輝いて見えた。
先輩たちや青峰たち後輩とバスケが出来ること、みんなで笑い合えることが、楽しくて楽しくて仕方なかった。
部活の帰り道、真夏の暑さの中いつものようにみんなで帰っていた。俺と今吉先輩は一軍の団体から離れたところで話ながら歩いていた。
俺は今日、先輩に告白すると決めていた。
男同士だし気持ち悪いと思われるかもしれない。引かれてしまうかもしれない。だけど俺は想いを伝える。伝えなきゃいけない。
意を決し俺は立ち止まって言った。
「今吉先輩!」
「うん?なんや瀬戸」
「俺、毎日楽しくて楽しくて仕方ないんです。みんなと過ごせて、バスケできて」
先輩は立ち止まらずに、うん、うん、と相槌をうって答えている。
それを聞きながら、俺は目を伏せて、体を通り抜けて行く風を感じながら続けて言った。
「こんな日々がいつまでも続けばいいなって、思います。」
「うん」
「先輩、俺、先輩のこと、ずっとっ・・・」
顔を上げた瞬間に、俺の思考はぶっ飛んだ。
大きな音と同時に、広い交差点に空を舞う先輩と大型トラックかぶつかるのが、俺の目にスロー再生のように映る。
途端に響く悲鳴
形を歪ませた先輩の体
流れる赤黒い液体
せん、ぱい…?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だイヤ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だなんでなんでなんでナニなんでなンデなんでなんでなんでなんでナんでなんでナンデなんでなんでなんでなんでなんでなんで
「今吉!!!」
「今吉さん!!!」
「先輩!!!」
気付いたチームメイトたちは血相を変えて駆け寄ってきた。
震えて動かない体が気持ち悪い。
ぐわんぐわんと揺れる視界も気持ち悪い。
嫌だ、嘘だ、なんで、先輩
─だって俺たちはこれからも、ずっと
真夏の暑さと、俺の何かが崩れる音がして、俺はその場に倒れた。
意識が朦朧とする中俺は強く 、強く誓ったのだ。
──神様、これが運命だというのなら、俺はこの運命をネジ曲げてやる。
そして俺の意識は暗転した。
***
目を覚ましたそこは、真夏の地面でも病院のベットでは無く、真っ暗な場所。
冷たくも熱くもないというより熱が無い、しかし地面のような感覚はあるそこに俺は寝転がっていた。
─目は覚めたかい?
頭の中に響く『誰か』の声にハッとした俺は勢いよく起き上がり辺りを見回した。
「誰だ。出てこい。ここはどこだ?今吉先輩は?何故こんなところに俺はいる?」
─質問の多い餓鬼だな。まあ、少し僕の話を聞きなよ。悪いようにはしないさ。
淡々と言う『誰か』は続けて言った。
─ここは…そうだな、『時空の狭間』、とでも言おうか。ここの空間を作ったは僕だ。そしてこの『時空の狭間』から宇宙、地球、そして生命を作った。ここの空間からなら君のいた世界に関わることを動かせる。僕は君の世界で言うカミサマってことさ。人間は面白いよ。姿も声もみえないし聞こえないそんな存在するかもわからない僕を敬うんだからさ。でも最近、そんな輩は減少した。地球はつまらなくなった。だから地球の生物に色々なことをしたよ。でも人間はそれを自分たちの力だけで解決してしまうんだ。つまらない。全く面白くない。
カミサマと名乗った声の主はそんな馬鹿げた話を饒舌に語った。
わけがわからない。時空の狭間?違う。きっとこれは夢だ。そんなことあるはずがない。
カミサマが言った。
─信じてないって顔だね。ちなみにこれは夢じゃない。”現実”だ。まあ、そんなことはどうだっていい。僕は君の願いを叶えにきた。だって君は僕に誓ったんだろう?強く、この僕が痺れるくらいに、君は恨んだのだろう?この僕を。だから君は僕が君の好きな願いを2つだけ叶えてあげよう。なんでも構わないさ。それで僕がカミサマだということも証明できるし。それで僕に面白いモノを見せておくれよ。
信じられなかった。こんな空間で、姿の見えないやつの声を聴いて、夢だとしか思えないだろう。
だから俺はこう言った。
「じゃあさ、 お前が本当にカミサマだって言うなら俺にこれが夢じゃないって信じさせてみろよ。そのくらいできるだろ?」
─いいだろう。1つ目の願いだ。
そうカミサマが言うと俺の目の前に一つの赤いハサミが現れた。
そのハサミはなんでも切れてしまいそうに鋭く、美しく光っていた。
─それで君の身体を刺してごらん。夢ならそれで覚めるだろう。痛いという感覚が無いだろう。大丈夫。死にはしないよ。
俺はそのハサミを手に取ってなんの迷いも無く自分の左腕に刺した。
ハサミはすんなりと皮膚と肉を裂き、瞬間に左手にひどい激痛を齎した。
「っでぇええええええッ!!!」
痛みに耐えかね倒れ込んで叫んだけれど血がドバドバ溢れて痛みは収まらない。
まるでこれは”現実”だとでも言うかのように。
しかししばらくするとハサミは消えて行き腕の痛みだけが残った。
夢じゃない。これは現実だ。どうしようもない、馬鹿げた現実。
現実を受け止めた俺を見たのか、カミサマは息を荒くした俺の頭にまた話しかけてきた。
─どうだい。これでわかったろ。夢じゃないって。
「…ッ!」
─はは、いい目だね。そんな目は好きだよ。さて、もう一つの願いをきこうか。
「じゃあ、今吉先輩を元に戻してくれよ。先輩、あの状態だと死んでいただろうから、元気にバスケをしてい生きていた時のように 」
誰もいない、何もない暗闇を睨んだ。
─…それは無理だよ。ルールに反するからね。失った命は元には戻せない。
「なぜだ!お前はカミサマだろう!?なんでも願いを叶えてくれるハズだろう!?」
俺は柄にもなく吠えた。
何かを企んでいるようにニヤニヤと笑った顔も、厳しいけど確かに楽しかった元通りの世界に、戻せればいいのだ。
あの、普通で平凡な日常を
─おいおい。ここはRPGの世界じゃないんだ。簡単に死人を生き返らせるわけがないだろう。今吉と言ったかな?アレは死ぬ運命だったんだよ。君が違う選択をしたなら、アレは死ななかったかもしれないけれど。それに、ルールだからね。ルールに逆らえば僕は消滅してしまうし、君がいた世界も消える。だから生き返らせることなんて出来ないんだよ。
俺は失望した。
先輩はいない。もうあの日々は戻ってこない。
先輩、あなたにはもう…
失望している俺の目の前に、今度は1つのモニターのようなモノが現れた。
そこには、前を歩く眼鏡の少年と長身でぼさぼさの髪の少年が映し出された。
—だけど、君はネジ曲げるんだろう?この運命を。方法は決まっているんじゃないのかい?
モニターの中でスリップしてきた大型トラックと眼鏡の少年が混じりあう。
少年は血を吹き出し、投げ飛ばされた。
その場面をループで映し出す。
「…っあ…先輩っ!先輩先輩先輩先輩…っぅああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
—さあ、ネジ曲げてご覧よ。この運命を、君が。もう一度聞こう。君の願いは?
「っ…俺は」
人生をやり直す
