部下の仕事ぶりを見ていると、
100%自分でやり遂げる意識が強い気がします。
野球で喩えると「先発完投」を目指そうとします。
一見、悪いことではないのですが、
そういう意識を持たないように指導しています。
「全部自分でする」ことを前提に作業を進めると、
作業プロセスに抜けが出ることが多いからです。
たとえば、仕様書を読んで試験項目を作るという作業の場合、
「仕様を理解する」-「試験項目を作る」必要があるのですが、
「試験項目を作る」という作業を自分がすることを前提にすると、
「仕様を理解する」という作業のアウトプットを意識しなくなります。
結果として、全ての作業を一人で担当するにしても、
第一弾の作業結果がきちんとアウトプット化されていないと、
困ることが多々あります。
たとえば、試験項目の漏れがあったような場合に、
再度、仕様書をチェックしなければいけません。
また「仕様理解」と「試験作成」の間に割り込み作業が入った場合、
記憶がおぼろげになるので、仕様書の再チェックが必要になります。
誰かに後段の引き継ぐ可能性があると考えて作業をすると、
作業ごとのアウトプットをきちんと残そうという意識が働きます。
自分の仕事を“責任を持ってやり遂げる意識”はとても大事ですが、
「やり遂げる」の意味を間違えてしまうと、本末転倒です。