好きな娘の泣き顔は見たくない。
笑った顔が見たいし、出来るならそれを引き出すのは自分でありたい。
喜ぶ顔や怒った顔に恥ずかしそうな顔。
君の表情と感情が全て自分だけに向けられたらどんなに幸せだろうか。
でも、君の泣き顔だけはどうしても心が痛むんだ。
「ほら、泣き止まないと目がウサギみたいに真っ赤になるよ」
ポロポロと零れ落ちる滴を、そっと指で拭う。
それでもあとから溢れるのを止めることができない。
声をあげず、嗚咽すら殺して涙を流す君に、俺はいったい何ができるのだろうか。
「どうしたら泣き止んでくれるの?」
「でき、ません…」
「なんで?」
「だって、だって、敦賀さんが泣かないから。代わりに私が泣くんです」
ずっと痛かったんですよね。
泣きたいのに泣けなくて、辛かったんですよね。
泣く資格がないっていうなら、私が代わりに泣きます。
告げられた言葉に、目頭が熱くなる。
「…本当に君は…これ以上惚れさせてどうするの」
流れ落ちる滴を唇で吸い取ると、驚いて目を見開いたまま凝視する。
それなのに涙腺は壊れているのか、涙は止まらない。
「思う存分泣いて。泣きやむまで俺が慰めるから、泣きやんだら笑ってね」
「はい。泣きつかれたすっごく不細工な顔でよければ」
そういって、涙を流しながら儚く微笑むその姿に、ぎゅっと胸が締めつけられた。
なかしたい。ないてほしい、ぼくだけのために
俺のことを思って流す涙が綺麗だと、思ったんだ。