引継ぎは、親先生から許されて自分の社中でできるようになった。
お道具を揃えるのも最初は大変!
伝授も順番だけでやっと。
お客さんの先輩がいなかった最初は親先生のところから資格のある友達を呼んで茶会をした。
今思うと嘘の様である。
古今伝授の伝統を守り続けて30年。
去年は地震で春は延期、秋に2度の引継ぎになる。
9月、10月と続いた、さすがに私も疲れ果てたが20人近い生徒さんが卒業した。
こんなに多くの伝授者は初めて。
生徒さんたちも大変であった!
一度だけ師から伝授を受けて、一週間後に先輩の前で伝授を受けたことを披露する。
これは、なかなか大変なこと。
集中力と、長い奥伝なので持久力も要求とされる。
引継ぎは一生に一回。
披露茶会も一生に一回である。
なんで、こんなことをするのかという疑問もわくが、この関門を通過することで、人を教えられる資格と自信を得るのである。
昔風には、この関門を突破すると、先生の代稽古が出来る師範代になるのであるから一生一度の晴れ舞台。
江戸時代以前から続く伝統の技の習得法の古今伝授なのである。
日本のいろいろな武芸や芸術に伝わるのである。
奥伝のお稽古はその後も続くが、何しろ長くややこしい古典のお点前、普段のお稽古でできるものではない。
休みの日、懐石風点心も頂き、お菓子も正式に、それでこそ奥伝、奥秘のお稽古になる。
体力も必要なのである。
奥伝、奥秘の台子を習うことで、茶道の歴史の流れを知り、ルーツを納得できる。
一より習い十を知り、元のお薄までその発展が自分のものになる。
お花でいう、古典立花をお稽古した人は自由花まで、見違えるほどに良くなるのと似ている。
人はどうあれ、私は30年生徒さんに伝授をしながらも、自分も奥伝、奥秘を学んできた。
本当に古今伝授をしてきてよかったと思う、やればやるほど未だに奥が深いのに驚く!!!
行台子、真台子は何度しても新しい発見があるのである。
伝授しながら、学んでいるというのが私の本音。
古今伝授の式は、親先生のやり方でしている。
今年から、準備、会の進行を最初の師のやり方、シンプルで無駄のない引継ぎ茶会に戻そうと思う。
世の中は、地震以来、贅沢と無駄は許されない時代になる。
奥伝、奥秘の伝授は今まで以上に真剣に取り組むが、終わっての打ち上げ会などは自粛。
覚えることに専念する初心に帰るべき時だと思う。
時代の流れに流されることなく、内容で真価を問う!!!