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【葬送】アイドルから文芸まで、さっそうと駆け抜けた映画人生 映画監督・森田芳光さん

 自主映画出身の監督が、商業映画で堂々と活躍する先鞭をつけた。真骨頂はアイドル映画から文芸作品までをこなす題材の幅広さ。デビュー作「の・ようなもの」(昭和56年)の配給を森田青年から頼まれたエース・プロダクション会長の原正人さん(80)は「真剣さと愛情が入り交じった顔に、つい『わかった』と答えた。見たことのない語り口で、君の快進撃が始まった」と遺影に語りかけた。

 出世作「家族ゲーム」(58年)に母親役で出演した歌手で女優の由紀さおりさん(63)は「伊丹十三さん、松田優作さん、森田監督が楽しそうに映画の話をしていたのを覚えています」と話し、3人とも鬼籍に入ったことを寂しがる。「失楽園」(平成9年)に出演した女優の黒木瞳さん(51)は「クリスマスイブに悲しみのプレゼントを持ってくるサンタクロースとは。最後までにくい演出です」と声を振り絞った。

 来春公開の「僕達急行 A列車で行こう」を完成させた後に体調を崩し、20日、急性肝不全で死去。61歳。和子夫人に「映画がやっと分かってきた」と話していた矢先だったという。

 約400人が別れを惜しむなか、棺には好物だった「大判みかんがむ」などが添えられた。出棺時、BGMは森田監督が撮影の打ち上げで必ず歌ったサザンオールスターズの「真夏の果実」から、ジャズの名曲「A列車で行こう」に切り替わった。その軽快な曲調のように、さっそうと駆け抜けた映画人生だった。